いくつになっても集めたい!「標本バカ」

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今回紹介する本は「標本バカ」何と言っても短編集で小説のようにすらすら読めるのに、たくさんの学びがあります。

著者の川田伸一郎さんは国立科学博物館でひたすらに動物の標本を作り続けている博士。この本からは標本への愛が物凄く伝わってきます。ほんっとにひたすらに標本を作り続けておられるんですよ。

これまでに作製した標本は1万6千点を超え、国立科学博物館の哺乳類標本を10万点にするのが目標だそうです。すごい!

博士は本当に集めるのがお好きなんだと思うわけですが、皆様も一度は何かを集めた経験があるのではないでしょうか?最近はミニマリストとかも流行ってますけど、、、、

私は小学生の時にひたすらカードを集めたり、ペットボトルのキャップを集めていました。カードは分かるかもしれませんが、なぜペットボトルのキャップ?と思われた方がいるかもしれません。

ペットボトルのキャップは種類によってマークが違ったり、形が違ったりととっても種類が多くて魅力的なんですよ!ひたすらに集めて、箱いっぱいになっていたんですが、ある日母に捨てられました。

幼き僕は衝撃を受けました。「え・・・・なんで捨てたん?」

母「え、だってゴミやろ」

物の価値というのは人のよって異なります。私にとっては宝物に近いペットボトルのキャップであっても、母にとってはただのごみでした。一見ただのゴミに見えるものも見方によって価値が生まれるというか、見る人しだいというところもありますよね。

それからまたペットボトルのキャップを集めることを再開することは無く、大人になりました。

以前くもMさんは集めるのとか好きそうって言われたんですが、今思い返すとそうかもしれませんね。高校生の時は昼ご飯を抜いて漫画を買っていたので、合計2000冊くらいになりましたし、今は科学の本をひたすらに集めています。

あとは、本ってやっぱり紙がいいなと思ってしまうタイプで、どうしても電子書籍で買おうと思わないんですよね。皆様はどうですか?紙の方が見てコレクションになっているのがわかるし、将来的にサイエンスカフェみたいなのを開いて本棚いっぱいに科学の本にしたいって夢があるんですよね。いや~もっともっと本読まなきゃね。

と、なかなかにお話がそれましたが、この本はそんな川田博士が日々標本を作る中で様々な出来事に出会い、経験されたことを覗き見ることができる本です。

突然熊の死体がみつかって回収しにいくお話だったり、標本を作る時に気づいた興味深い点などなど。皆様も川田先生の世界に入ってみてはいかがでしょうか。

こんなにも濃い経験を毎日されているのかと考えると僕の人生はぺらっぺらだなとも思ってしまうわけなんですが、僕ももっと日々を充実させるべく頑張ります!

本を読んでみて。。。。

この本は『ソトコト』(木楽舎)の連載コラム「標本バカ」の2012年5月号~2020年4月号に連載されたものから77話分を抜粋したものだそうなんですが、さっきも言ったように本当に濃い日々を送っておられるのが読んでて伝わってきます。

全国から先生のところにクマやクジラ、カメなどなど動物の死体の知らせが届くのですが、その1つ1つにエピソードがあって、それぞれがとっても面白いんです。

本当に動物のことを大切にされているんだなってことも伝わってくるし、その中でも1つのフレーズが心にささりました。

『「命の尊さ」ってのは、生きている動物だけを見ていてもわからないだろう?』

ある博物館で高校生から参加できるタヌキの解剖実習が企画されたところ、「残酷である」といった批判を受けたそうです。高校生に解剖をみせるのは精神衛生上問題があると。

先生はこの本の中で「これはちょっと高校生をなめすぎではないかな、と僕は思う。・・(略)・・彼らの「生き物の体の仕組みをしりたい」という気持ちを、勝手に決めつけた愛情論や倫理観で妨げることこそ、教育上よくないだとう」とおっしゃっています。

大人が決めることではないことですし、十分高校生にも判断能力はあるはずです。自分たちの価値観を押し付けることの方が教育上どうなのかなと僕も思ってしまいます。

動物の死体からしっかりと考えられることを見出して、そこからどんなことを学べるのかをしっかりと指導できる大人が一緒に解剖に付き合えば、それはとても貴重な学びとなるはずです。なかなか解剖をできる機会って少ないですし、積極性のある高校生はどんどんこのような場に行って学んで欲しいですね。

やっぱり動物の解剖とか標本作りって技術がいるので、難しいです。だから、なかなか体験できる機会は少ないですよね。私も大学ではマウスの解剖などをしましたが、教科書通りにはいかないもので、思っている以上に難しいですよ。生き物の命と向き合うのは経験も知識もかなり必要ということです。

少し重いお話になってしまったので、もう一つ印象に残ったライトなお話をしましょう。

生き物に付けられる学名は属名と種小名の2つの単語で表されます。そして、この2つの単語に使われるのがラテン語です。普段学名には触れる機会は少ないのですが、中には面白い学名が付けられている生き物がいるんです。

それがイブニングコウモリと呼ばれるコウモリの仲間なんですが、その学名は「 Ia io」属名も種小名も2文字で最も短い学名だそうです。

では、その意味はなんなの?というとイアは若い女性を表していて、イオは英語で万歳となるそうで、「若いねいちゃん、万歳!」という意味だそう。

どうしてそんな名前にしたんだと思わず突っ込みを入れてしまいたくなりますが、そういった学者の遊び心とかも垣間見ることができるんですね。

ぜひ、皆様も色んな種類の生き物たちの学名を意味、由来を調べてみてはいかがでしょうか?面白いものがあったら教えて下さい(^^♪

本の詳細

『標本バカ』

著者 川田伸一郎

イラスト 浅野文彦

題字 金澤翔子

デザイン 井上大輔

編集 藤本淳子

印刷・製本 凸版印刷株式会社

発行者 田中幹男

発行所 株式会社ブックマン

created by Rinker
ブックマン社

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