いつまでも輝き続ける『ロウソクの科学』とは?

2019年2月25日おススメ科学選書, 身の回りの科学

今からおよそ150年前、科学が一般的ではなかった時代、ファラデーによる最後のクリスマス公演が行われました。

ろうそくを題材とした6回の講演。

その講演内容を記した本こそが『ロウソクの科学』です。

現代の理科教育にも大きく影響を与えており、理科を教える人はもちろん、学ぶも人もその内容を知っているべきであると思います。

『ロウソクの科学』自体は昔の表現、その当時当たり前であったことが今では当たり前ではないですし、やったことが無いとわかり辛い実験などもありますので、少し読み辛いかもしれませんが、読んでおいて損はないはず。

150年以上たった現代でも輝き続ける内容であるというのは驚くべきことです。

今回はそんな『ロウソクの科学』を簡単に紹介していこうと思います!

1.マイケル・ファラデー

1791年9月22日、サリー州のニューイントン・バッツでファラデーは生まれました。

生まれてすぐに父の仕事の影響でロンドンへ移住、読み書きの手ほどき程度の教育を受けます。

その後、製本工の見習いとして働いている時、電気関係の本に興味を持ち、自分で実験したりと独学で科学を学んでいきました。

そうするうちに科学関係の仕事に就きたいと思ったファラデーは著名な博物学者であった王立協会会長のバンクスに気持ちを綴った手紙を送りますが、当然のことながら相手にされません。

しかし、ファラデーは諦めることなく自身のノートを添えた手紙をさらに送り、王立協会研究所での面接までこぎ着けたのでした。

その時は空いているポストが無かったため、採用されませんでしたが、しばらくして助手の1人が喧嘩を理由に解雇されたので、運よく実験助手として採用されることに。

実験助手を務めながら市民のための科学勉強会「市哲学協会」に加入し、勉強や公演をすることで、自ら学ぶことに努めました。

1820年には「塩素と炭素の2つの新化合物について、およびヨウ素、炭素、塩素の新化合物について」という現在でも価値が認められている最初の論文を投稿し、さらには1825年に「炭素と水素の新化合物について」というベンゼンに関しての論文を発表しました。

このように化学に関する偉大な成果を残しながらも、その後は化学から遠ざかり、電気の世界へとファラデーは足を進めていきます。

そして、最も有名な電磁誘導の発見と電気分解に関する「ファラデーの法則」を発見したのです。

その後、ファラデーは王立協会会員に選出され、1833年にはフラー教授職に。

そこから水銀中毒によって体調を崩しましましたが、休暇後の1845年に直線偏向が磁場によって曲げられるという「ファラデー効果」を、1846年には光の電磁説の前触れともなった「光の振動に関する考察」を発表しました。

このように偉大な研究者であるファラデーは研究だけではなく、理科教育への想いも強く、まさに今回紹介している『ロウソクの科学』のクリスマス公演の他にも、士官学校の非常勤講師なども務めたのです。

理科教育が倫理的思考の方法を身に付けるために必要であるということを誰よりも早く提唱し、その意志は現在でも受け継がれています。

そんなファラデーは1867年8月25日、自宅の揺り椅子に腰をかけたまま、安らかに亡くなりました。

2.ロウソクの科学

電気の研究で名が高いファラデーですが、前の節を読んで頂ければわかるように、ベンゼンの発見など化学者としてもとても偉大な結果を残されています。

ロウソクの科学は物理系ではなく、化学系となっており、その理由もわかりますよね。

合計6回の講演プログラムは以下の通りです。

第1講 物質一般 個体、液体、気体 化学親和力

第2講 大気とその中の気体

第3講 水とその元素

第4講 硝酸、アンモニア、塩酸など

第5講 硫黄、リン、炭素とその酸

第6講 金属とその酸化物 大地、固定アルカリなど

ロウソクのお話から話題を広げ、様々なことを教えてくれています。

では、それぞれの講演でどのような実験がされているのか、簡単に紹介していこうと思いましょう。

3.第1講

第1講ではロウソクは何から作られているのかということから始まり、ロウソクがなぜ燃え続けることができるのかを考えていきます。

毛細管現象や炎による上昇気流。

きちんと説明することが意外と難しいロウソク。

そんなロウソクには科学がたくさん詰まっており、そこから学ぶことはとても多いのです。

ここでは食塩と飽和食塩水を使って毛細管現象を再現したり、炎を吹いて下向きに空気の流れを変えたり、干しブドウとアルコールをお皿に入れを燃やしロウソクの炎と比較したりしています。

皆様はロウソクがなぜ燃え続けることができるのかを説明できますか?

簡単に説明してみましょう。

ロウソクに炎を付けると上部のロウが溶け始めます。

そのロウは毛細管現象によって芯をつたって炎へと常時供給されるので燃え続けるのです。

また、ロウが溶けても垂れてこないのは、炎により発生した上昇気流がロウソク上部の淵を冷やし固めるので、おわん型になるからです。

こう考えると思っている以上にロウソクが燃えているのは神秘的なことですよね。

4.第2講

ロウソクが燃え続けるには何が必要でしょうか?

それをこの第2講では確かめていきます。

ロウソクの炎は外炎、内炎、炎心に分けることができ、それぞれの温度が異なります。

紙や割りばしを使用すれば簡単に確かめることができるのですが、なぜこんなことが起こるのか?

答えは酸素に関係しています。

燃えるということは激しく酸化反応が起こっているということ。

外側は空気と接しているのでたくさん酸素がありますが、内側に行けば行くほど酸素は少なくなってしまいます。

そのため、このように温度の差が生まれるというわけですね。

また、ロウソクに冷やした銀のスプーンをかざすと曇ることを示し、ロウソクの燃焼では水が発生していることを教えています。

5.第3講

第3講では第2講で発生することを確かめた水について詳しく見ていきます。

当時単離に成功し、水であることの判断に使われていたカリウムのかけらを入れ、火が出ることを見ています。

また、水が水蒸気になることで、どれだけ体積が増えるのか?

さらには、氷になった時にも体積が増えることを実験で確かめています。

中を水蒸気で満たしたブリキの缶を急激に冷やすことでつぶす実験が行われていますが、現代でも空き缶などを使用してよくやられている実験です。

さらには、二酸化炭素が重い気体であるということ、水素は軽い気体であることを示してくれています。

6.第4講

ここでは当時発明されて間もなかったヴォルタ電池を使い、水を電気分解し、水素と酸素に分け、酸素や水素に火を近づけるとどうなるのか実験しています。

この実験は理科の教育として、今でもよくやられる実験であるはずです。

また、空気中ではなく酸素中で硫黄やリンなどを燃やし、酸素の助燃性を実験で示しています。

最後には酸素と水素の混合気体でシャボン玉を作り、燃やしています。

実際にやったことがある方はわかるかもしれませんが、これがなかなか音が激しく鳴る実験なんですよ、、、、

7.第5講

ここでは空気には実はものすごい重さがあることを実験的に示していきます。

その実験の1つとしてマクデブルクの半球が取り上げられていました。

これは2つの鉄のボウルのような物をくっつけ合わせ、その中を真空にすると、外からかかる大気圧のせいで人の力では決して開くことができない球を作れるというものです。

さらにこの講では、気体の種類によってそれぞれ重さが違うということを説明しています。

その説明の1つとして、二酸化炭素を使い、シャボン玉が空中で止まる所も見せていました。

これは当ブログでも行った実験ですので、ぜひ見てみて下さい。

8.第6講

ロウソクは炭素が含まれており、燃えると二酸化炭素が発生します。

また、先ほどの講でも申し上げたように燃えるとは酸化反応であり、実はこのことは体の中でも起きているのです。

ただ、ロウソクのように激しい反応というわけではなく、穏やかな燃焼です。

私たち人間も酸素を取り込み、二酸化炭素を排出していますよね。

体の中では、エネルギーを得るために酸化反応を利用しているのです。

ここでは石灰水を用いて、私たちの息には二酸化炭素が含まれていることを示しています。

9.さいごに

以上がファラデーが150年以上前に行ったクリスマス講演の簡単な全容です。

今でも中学校や小学生の科学教育で行われる実験が多いとうことに驚きではないでしょうか?

特に水を電気分解し、酸素と水素に火を近づけるというのは誰しもがやった実験であると思います。

ファラデーが生きた時代には科学教育などなく、まだ科学は社会に浸透していませんでした。

しかし、理科教育というものが論理的思考を身に付けるために必要であるということをいち早く主張し、行動していたということはもの凄いことであると思います。

また、ファラデーが行ったように自分がしたいと思ったことへの積極性、運は行動して初めてついてくるものであるもの。

まずは行動していかなければいけませんね。

私ももっと頑張ります!!!

皆様もぜひ、本を読むことでファラデーの時代へと遡り、その当時の少年少女の気持を味わってみてはいかがでしょうか?

また、当ブログでもファラデーが行った実験に挑戦していければと思います。

【参考文献】

『ロウソクの科学』 2010年

ファラデー 著

竹内敬人 訳

岩波書店 発行

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