目指せ!綺麗で大きなミョウバンの結晶(2)

2018年9月9日身の回りの科学

ミョウバンの結晶化に挑むこの企画ですが、前回の記事は⇩です。

目指せ!綺麗で大きなミョウバンの結晶(1)

今回も前回同様、私のしていた研究のお話から初めたいと思います。

1.X線結晶構造解析

研究室でタンパク質の結晶化をしますが、大がかりな測定は研究室ではできません。

なので、SPring8という大型放射線施設で測定するのです。

SPring8は兵庫県にあり、世界でも3本の指に入る放射線実験施設。

そのため、国外からもたくさんの研究者が研究しにくる施設になっています。

SPring8はリング状の建物で、なんと全長1キロ以上もあります。

1キロ以上もあるため、徒歩では時間がかかります。

なので、建物の中は自転車で移動なのです。

最初にSPring8に入った時は大興奮でした。

施設も実験機器も規格外に大きいのです!

そりゃあもちろん自転車で1周もしました(笑)

そんな大きな施設なんだから、さぞかしダイナミックな実験をするのだろう!

と思われるかもしれませんが、実験自体は地味なものです。

私が持ち込んだタンパク質の結晶は大きなもので5 mmほどの大きさしかなく、それを測定するわけですから。

また、結晶を測定器へ設置するには、もの凄い集中力と熟練の技が必要となります。

どのようにして測定器に設置するのかと言いますと、まずは顕微鏡を覗きながら小さな輪っかで結晶をすくうのです。

そして、すくった結晶を瞬間的に凍らして、測定に入ります。

屋台でスーパーボールすくうのでさえ難しいのに、そんな小さな結晶をすくうのは本当に大変です。

なんなら顕微鏡を覗いているわけですから!

また、結晶は壊れやすくデリケートなため、力の入れぐわいも絶妙なものが必要なのです。

私は器用な方だと思っていましたが、全然うまくいきません。

一番大事な結晶は熟練の研究員の方にすくっていただいたのでした。

また、結晶をすくってからもたもたしていると、塩が析出してしまいます。

すぐに凍らせないといけないのです。

タンパク質の結晶化をする溶液はただの水ではありません。

例えば食塩などの塩が溶けた溶液なのです。

ミョウバンもそうですが、塩はすぐに結晶になってしまいますよね。

もたもたしていると、タンパク質の結晶の上に塩の結晶ができてしまいます。

そうなると、測定した時に綺麗なデータが取れなくなってしまうのです。

測定は簡単そうに見えますが、様々な技術が必要となるので非常に難しいものなのです。

さて、そろそろ今回の本題に入っていこうと思います。

ミョウバンの結晶化はどうなったのでしょうか。

2.種結晶を取り出す

昨日仕掛けた溶液を見てみることにします。

⇩は5時間ほど経過した状態です。

大きな結晶と、中くらいの結晶に見にくいかもしれませんが、真ん中より少し下の方に綺麗な形をした結晶があります。

最初、巨大な結晶しかできておらず、ミスったかなと思いましたが大丈夫そうです。

そして⇩が本日の朝、仕掛けてから10時間の状態。

たくさんの結晶ができていました。

この中から一番きれいな形のものを種結晶として使います。

また、大きい結晶は大きさを測定してみたくなったので取り出してみました。

巨大な結晶です。

透明でも形も悪いのですが、なんとなく綺麗ですよね。

結晶が何層にも重なってできているのが分かります。

大きな結晶の大きさは3cmを超える大きさでした。

また、種結晶には綺麗な結晶1cmほどのものを使います。(右側)

ここからついにこいつら⇩の登場です。

針金は何回もできる量がありそうです。

そして、これまた結晶をくくりつけるのが一苦労。

悪戦苦闘しているうちに少し結晶を傷つけてしまいましたが、なんとかくくることができました。

この状態だと針金を巻き込んで結晶になっちゃうなと思いながら次へと進みます。
先ほどの種結晶を取った溶液を再び溶かします!

 この作業が一番時間がかかりますね。

20分ほど熱すれば、完全に溶けてくれました。

この状態では約70℃もあるので、少し冷まします。

 冷えてきたので今回もきちんとコーヒーフィルターでろ過することにします。

ろ過し終わった時の温度は55℃です。

少し温かめですが、これに種結晶を浸けたいと思います。

頑張って大きくなってくれよと願いながら、種結晶を浸けます。

アルミホイルで蓋をして、しばらく時間を置くことにしました。

さぁどうなったのでしょうか?

3.実験結果

今回行った結晶化の方法は『温度降下法』というものです。

温度によって溶ける量が違うことを利用し、結晶化するという最も簡単な方法というわけです。

その結果がこちらです!⇩

 5時間経過で2cmほどの大きさへと成長しました。

 綺麗に結晶化されている部分もありますが、濁ってしまい透明ではありません。

こんな結晶私が求めていたのではない!

私が求めているのはもっときれいな形をした結晶です。

いくつもの層ができてしまっているではないですか!

やはり温度を下げる方法では綺麗には作れないのか、、、

そもそも50℃は高すぎた可能性も大きいですよね。

そして、針の付け方も良くなかったですね、、、次は熱して突き刺します!

そして、なによりもっとゆっくりとミョウバンを析出させる方法をとるべきでした。

この結晶はそっと溶液に戻しとりあえず引き続き成長させます。

これは違う方法で再挑戦しなくてはいけませんね!

そう思ってネットで500gものミョウバンを購入したかいがありました。

今回は温度降下法という最も簡単な方法で作成しました。

次は蒸気拡散法を試したいと思います。

挑戦はつづく。