どうして花粉症になるの?原因となるIgEの働きは?

2018年9月7日身体の科学

年中花粉症の通年性の花粉症の方もおられますが、春は特に辛い花粉症の季節と言えます。

当時、中学生だった私は春になるとなぜかか鼻水が止まらなくなるなと思っていました。

その時は自分が花粉症花粉症だなんて思っていなかったんですが、どうやらそのころから花粉症を発症していたようです。

皆様もきっと気づいたら花粉症だったという方も多いのではないでしょうか?

では、なぜ花粉症になってしまうのでしょう。

体の中に花粉が入ってくると、花粉には害ありませんが、本来体を守る免疫反応が過剰に反応してしまい、くしゃみが止まらなくなったり、目がかゆくなったりと、花粉症が起こってしまうわけです。

このような免疫反応が過剰に起こってしまうことを『アレルギー』と呼んでいます。

そして、花粉症を含むアレルギーの原因は、免疫グロブリンの1つIgEにあるのです。

IgEは本来、寄生虫などの生物から体を守る働きをしてくれますが、寄生虫などの生物が周りから極端に減ってしまった結果、私たちに猛威をふるっています。

初めから花粉症やアレルギーを引き起こすために存在しているわけありませんもんね!

IgEだの免疫グロブリンだの色々出てきましたが、今回はこのような花粉症がどのように起こってしまうのか、解説していこうと思います。

1.IgE

最初にも言いましたが、アレルギーの原因となるのは免疫グロブリンの1つであるIgEです。

免疫グロブリンとはみんなが良く聞く抗体と言っても間違いではありません。

抗体は外からやってきた敵に対してくっつく機能を重視した呼び方であり、物質的には免疫グロブリンなのです。

そして、ヒトはIgG、IgM、IgA、IgD、IgEの5種類の免疫グロブリンを持っています。

最も多いのはIgGであり、アレルギーに関わるIgEは少ないのですが、アレルギー体質の人は普通の人に比べるとこのIgEが多くなっています。

また、どんな形をしているのかと言いますと、基本的に免疫グロブリンは下のようなY字の形をしています。

種類によってこれが連なったり、細胞とくっ付いていますが、基本的な構造はこちらのような形となります。

今回、メインで登場するIgEもこの形です。

青い部分がH鎖(重鎖)、緑の部分をL鎖(軽鎖)と呼んでいます。

また、体の外からやってきたりする敵を抗原と呼び、赤〇で囲ったY字型の上の部分がこの抗原とくっつくのです。

つまり、花粉はここにくっつくわけですね!

そして、この抗原とくっつく部分をFabと呼び、様々な抗原に対してくっつくために、このFabには可変領域が含まれます。

いろんな抗原に対してくっつけるように結合する部分の形が変わるということです。

また、変わらない部分は定常領域と言います。

反対に下の部分は、食細胞、マクロファージや、後々でてくる肥満細胞などの自分のもつ細胞とくっつくことになります。

そして、ここはFc領域と呼ばれ、変わらないので、定常領域というわけです。

アレルギーを引き起こすIgEですが、本来は外からやってきた微生物から体を守る働きをしており、特に寄生虫が体に侵入してきた時、追い出そうとしてくれるのです。

しかし、花粉や食べ物などが体に侵入してきた時でも、IgEが寄生虫などと同様に排除しようとする働きがアレルギーなのです。

では、次にIgEがどのようにして花粉症などのアレルギー反応を引き起こしてしまうのかを説明していきます。

2.肥満細胞から出される化学物質

IgEが花粉症などのアレルギーに大きく関わっているということはお分かりいただけたと思います。

では、どのように関わっているのでしょうか。

体の中に花粉がやってきたとします。

すると、花粉は菌などをやっつける食細胞、マクロファージに捕まります。

このマクロファージは捕まえた花粉の情報を抗体を作る細胞に伝えます。

この抗体を作る細胞は、抗体産生細胞、B細胞と言います。

B細胞はマクロファージからもらった情報を元に抗体を生み出します。

この作られた抗体こそがIgEです。

抗原の種類によって作られる抗体は異なりますので、花粉の場合はIgEというわけです。

できたIgEは生体防御機構に重要な肥満細胞にくっ付きだします。

肥満細胞には1つではなく、何個もくっ付くのです。

そして、さらに花粉がやってくると、肥満細胞にくっついているIgEに花粉がくっつきます。

これがトリガーとなり、肥満細胞からヒスタミンや、血管を拡張する物質、筋肉に作用する物質などの化学物質が放出されてしまうわけです。

また、肥満細胞にくっつくIgEが花粉用の抗体はだけでなく、他の抗原に対する抗体であった場合、肥満細胞から物質が放出されることはありませんが、多くが花粉に対する抗体であった場合、たくさんの化学物質が放出されることになります。

つまり、この肥満細胞から放出されたヒスタミンなどが、花粉症の症状を引き起こしているのです。

また、いきなり花粉症になるわけではなく、このIgEとくっついた肥満細胞が蓄積され、突然花粉症が発症されるというわけです。

ちなみに、市販されている多くの花粉症の薬はこのヒスタミンが作用しないようにしてくれています。

3.さいごに

私たちの身体を守るためにある抗体が、逆に私たちを苦しめているのがアレルギー反応です。

なんだか悲しいですよね。

花粉症は高齢者には少なく、若い世代は多く発症しています。

一般的に食生活の変化などと言われていますが、私は大きな原因はそこではないように感じています。

IgEの本来の働きは体にやってきた寄生虫などの生物から私たちの身体を守ることと言われています。

しかし、技術が進み、人は悪いものを除去し続けてきました。

その結果、寄生虫は減り、細菌も除菌除菌と不衛生さとは程遠い世界になりつつあります。

体は本来そんなことをしなくても十分守る機能を備えています。

しかし、敵が少なくなってしまった今、誤って自分を攻撃してしまっているのは明らかだと思います。

現に花粉症などを含むアレルギー症状は先進国に多く、途上国では先進国ほど多くありません。

もちろんアレルギーは遺伝的な体質も関係していますし、排気ガスや環境汚染などもその原因の1つであることは間違いありません。

ただ、腸も悪い菌と良い菌のバランスで成り立っていますし、良いものと悪いもののバランスが一気に崩れた結果、先進国ではアレルギーが多くなってしまっているのでしょう。

細菌とも共生している私たちですから、もっと体や細菌のことを知り、1つのことに決めつけてしまうのではなく、様々な観点から物事を判断したいですね。