世界初!ヒトiPS細胞から卵原細胞を作製!卵子の発生を解説

21日、米科学雑誌「サイエンス」に京都大学大学院医学研究科の斎藤通紀教授らのiPS細胞による研究が掲載されました。

その研究内容とは『世界で初めてヒトiPS細胞から卵原細胞の作製に成功した』というものです。

これまでヒトiPS細胞から精子や卵子に分化する始原生殖細胞に近いものを作ることはできていましたが、そこから分化を確認することはできていませんでした。

しかし、今回の実験では卵原細胞特有の形態を確認することができたことから、世界で初めてヒトiPS細胞から卵原細胞を作製することに成功したということです。

ヒトの発生にはまだわかっていないことがたくさんあるので、今回の研究がさらに進むことで発生の謎を解き明かすことが期待されるのです。

ということで卵子の発生についてから今回の研究についてお話していこうと思います。

動画Ver⇩

卵子の発生

今回の主役となる『卵原細胞』は卵祖細胞とも呼ばれ、ヒトの胎児期の初期に将来卵巣となる細胞群から形成される卵母細胞や卵子の幹細胞です。

この卵原細胞は出生前にはほとんどが一次卵母細胞へと分化が進み、思春期を迎えるころには成熟した一次卵母細胞へとなります。

数なんですが、出生時には20~200万個の一次卵母細胞が残っていますが、思春期になると4万個にまで減るのです。

卵子の元となる一次卵母細胞は思春期から周期的に分化していき、どんどん減っていくというわけですね。

この一次卵母細胞は染色体が半分となる減数分裂により、二次卵母細胞と第一極体となり、そこからもう1度分裂し卵子と極体へと分化していくのです。

また、この時出てくる3つの極体は分裂する時に細胞質を減らさないよう核だけをはじき出したその核こそが極体であると言われており、時間と共に消滅してしまいます。

つまり、1個の一次卵母細胞からは1個の卵細胞しかできないということになりますよね。

そして、排卵は一次卵母細胞の1回目の分裂の途中で起こり、受精しなければ2回目の分裂は行われず、二次卵母細胞は24時間程度で体外に排出されるのです。

iPS細胞から卵原細胞を作製

これまでヒトiPS細胞から卵原細胞を作ることはできていませんでした。

今回の実験ではヒトiPS細胞から始原生殖細胞を作製し、マウスの胎児の卵巣細胞と混ぜて約4ヵ月間培養したところ、77日目で卵原細胞特有の遺伝子の活性化が見られたのです。

マウスの胎児の卵巣細胞と混ぜることで卵原細胞が獲得されたことから、卵巣細胞から何かしらの影響を受け、分化が促進されていると考えられますね。

また、染色体も卵原細胞と似ている状態にあり、不必要なDNAにくっついた分子を除去する「エピゲノム・リプログラミング」が確認されました。

このことより、世界で初めてヒトiPS細胞から卵原細胞を獲得したということが証明されたのです。

獲得された卵原細胞は妊娠9~11ヶ月の胎児のものと似ており、卵原細胞の次の段階である卵母細胞の獲得をこれから目指していくとのことです。

さいごに

今回の研究は将来的にヒトの発生の謎を解き明かすことができるかもしれないというものです。

また、不妊症で悩んでいる女性などの原因解明や治療薬にも繋がるかもしれません。

その一方で、iPS細胞から作られた卵子や精子を使用し、受精卵を作ることは倫理問題の観点から禁止されています。

科学技術が発展していく中で、どこまでヒトは踏み込むことができるのか、そもそも踏み込んで良いのか。

考えさせられる問題でもありますね。