なぜ大人になるとコーヒーがおいしく飲めるようになるの?味覚の変化

2018年9月8日食品の科学

皆さんコーヒーはお好きでしょうか?

砂糖を入れたり、ミルクを入れたり、もちろんブラックでと、飲み方には様々ありますが、コーヒーを好きな方は多いと思います。

朝に飲むコーヒーはなんだかエネルギーを与えてくれるので、たまりませんよね。

では、いつからコーヒーをおいしいと感じるようになりましたか?

コーヒーと言えば苦くておいしいの代表ともいえますが、子供のころはそんな苦さが苦手な方も多かったのではないでしょうか?

同じように子供のころはピーマンやゴーヤも苦くて嫌いな人も多いはずです。

でもいつのまにかピーマンもゴーヤもコーヒーもそんなに苦く感じず、逆にその苦味がおいしいと感じるようになっていますよね。

不思議ですよね。

また、ビールもそのうちの一つではないでしょうか?

最初は苦手でも気づけば飲めるようになっていますよね?

なぜ人は苦味をおいしいと感じるようになるのでしょうか?

そこには味を感じることができる『味蕾』が大きく関わっています。

まずは味蕾とは何か?説明していきたいと思います。

1.味を感じる受容器『味蕾』

人間の感じることのできる味には以下の5種類があります。

・甘み

・苦味

・酸味

・塩味

・うま味

またこれらの味を感じることのできる味覚受容器を『味蕾』と呼んでいます。

この味蕾は主に舌に存在しますが、実は上顎や喉にも存在しています。

味を感じることができるのは実は舌だけではなかったんですね!

以前、舌は筋肉でできており、その表面には4種類の乳頭が存在すると説明しました。

詳しくは↓

猫舌の人はどうして熱いものが苦手なの?そうじゃない人との違いを解説!

この4種類の乳頭のうち3種類の乳頭に味蕾は存在しているのです。

また、一番多いのは有郭乳頭であり、次いで葉状乳頭、最後に茸状乳頭となります。

茸状乳頭は幼いころには多く味蕾を持ちますが、大人になるにつれてほとんど無くなってしまいます。

茸状乳頭に限らず、20歳をピークに味蕾の数は歳を取るごとに減っていき、70歳には半分になってしまうと言われているのです。

歳を取ると味を感じにくくなるのはこのせいなんですね。

では、この味蕾はどのようにして味を感じ取っているのでしょうか?

2.味蕾が味を感じ取るしくみ

味蕾は蕾ような形で、細長い細胞の集まりでできています。

蕾のような形をしているのでこの名前が付けられたわけです。

また、形成している細胞は『味蕾細胞』と呼ばれ、10日くらいのサイクルでどんどん新しく生まれ変わっています。

そしてこの味蕾細胞には、Ⅰ~Ⅳ型まで存在しています。

第Ⅰ型細胞:粘液を生産し、保護する役割
      一番外側に位置している

第Ⅱ型細胞:うま味、甘味、苦味を感じる受容体を持つ

第Ⅲ型細胞:酸味を感じる受容体を持つ

第Ⅳ型細胞:上記の細胞の幼い姿であると考えられている

蕾の一番上には味孔という外に繋がった穴があります。

この穴から様々な物質が入ってくることで、その味を判断しているのです。

もちろんこのような物質は溶けていなければ味を感じることができません。

入ってきた物質はⅡ型、Ⅲ型の持つ受容体に結合します。

結合によって電位差が生じ、その情報は電気信号へと変換されます。

この情報が様々な過程を経て、脳で処理された結果、私たちはそれぞれの味を感じることができるのです。

化学物質が味蕾細胞にくっ付くことで、味を感じていたわけですね!

ん?まって!塩味は?

塩味は他の味とはまた違います!

実は塩は他の味のように受容体と結合するわけではなく、味蕾細胞の表面の持つチャネルをナトリウムイオンと塩化物イオンが通過することで、しょっぱいと感じるのです。

つまり塩味の場合、味蕾細胞にイオンが入ってくればしょっぱいと感じるということですね。

塩味はこのように少し異なる仕組みで味を感じるので、他の味を引き立たせることができるんです!

塩はなかなかおもしろいですよね!

味を感じるしくみが分かったところで、いよいよなぜ大人になるとコーヒーが飲めるようになるのか?

考えてみましょう。

3.どうして大人になるとコーヒーがおいしく飲めるようになるの?

では、本題に入っていきたいと思います。

なぜ、苦いコーヒーをおいしく感じるようになるのでしょうか?

実は2つの理由があります。

子供のころはコーヒーなんて苦くて飲めたものじゃない!

そう感じていた人も多くありませんか?

でも大人はコーヒーを飲んでるから、飲めるようになったらかっこいい!

そう思って飲み続けて、気づけばおいしく感じるようになっていた!

そんな人もいるんじゃないでしょうか?

確かに子供のころ、コーヒーをブラックで飲む大人はかっこよく見えました。

しかし、人間は本能的に苦いものを拒みます。

多くの毒物にはこの苦味があるからです。

つまり、苦いと感じるものは毒だ!と思ってしまうのです。

有名な話ですが、リカちゃん人形の靴やアクセサリーには飲み込み防止のために、苦いと感じる物質が塗られているのです。

このおかげで、子供が口にしても、すぐに吐き出すようになっているというわけですね。

苦いものに対する立派な防御反応であるということですね!

ただ、コーヒーは毒物ではありませんが苦いわけです。

飲んでいるうちに人は苦くてもコーヒーなら大丈夫!

そういう経験が蓄積されるため、コーヒーを飲んでもおいしいと感じるようになるのです。

もう1つの理由としてはもう先ほど答えを言っています。

20歳をピークに味蕾はどんどん減っていってしまうのです。

つまり、大人になると苦味も感じにくくなるということです。

ビールも同じように20歳になったばかりで飲んでみても、苦くて全然おいしくないですよね!

でも気づけばなんと旨いんだろう!そう感じているはずです。

このように大人になればコーヒーやビールが飲める理由は、経験と味蕾細胞の減少にあったわけですね!!

また、味蕾細胞はタバコやストレスなどが原因で減ってしまいます。

タバコを吸うと食べ物がおいしいと感じにくくなるのはそのせいです。

また、ストレスなど体の不調から、舌苔ができてしまうと、味蕾細胞に味の物質が届かなくなってしまい味は感じにくくなります。

舌苔は舌に細菌のカスや粘膜のカスが付着した状態で、味覚を感じにくくするだけではなく、口臭の原因にもなってしまいます。

この舌苔は無理やり取ろうとしてしまうと舌を傷つけてしまうので、根本の原因である身体の不調やストレスを軽減する方が良いそうです。

ご飯をおいしいと感じるためには、体のメンテナンスも必要ですね。

4.さいごに

甘味、苦味、酸味、塩味、うま味の5つの味は味蕾で感じることができます。

この他にも味には辛味というものがありますよね。

しかし、辛味はまた別物です。

味蕾とは別に存在するカプサイシンレセプターという受容体にくっつき、熱い!痛いと痛覚により認識されたものが辛味です。

つまり辛味とは痛みなのです。

辛いのを食べすぎると口の中が痛いですもんね。

しかし辛いものを食べると、脳内では快感物質がでてくるため、辛いものを食べるのをやめられない人は多いようです。

私もその一人ですが(笑)

味覚に関して面白い話題がもう一つあります!

辛いの反対は甘いですが、ミラクルフルーツというものをご存知でしょうか?

なんとミラクルフルーツを食べた後にすっぱいものを食べると、甘く感じるそうです。

なぜでしょうか?

ミラクルフルーツはミラクリンというタンパク質を持っています。

このタンパク質が味蕾細胞に働きかけ、構造を変化させることで、酸味を甘味と感じさせるそうです。

なんとも不思議なタンパク質ですね。

味というのは本当に不思議です。

まだまだ味覚にはわかっていないことがあります。

新たなことが解明されるのが楽しみですね!

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