どうしてポスターや写真は太陽の光で色あせてしまうの?インクジェット編

2018年9月10日身の回りの科学

町で色あせたポスターを目にすることがあると思います。

また、窓際の大事な写真が太陽の光で色あせてしまったことはありませんか?

まさにこの写真がそれです。

このように写真の一部が色あせてしまっています。

なぜこの部分だけ色あせてしまっているのか?

それはこの写真たての構造に理由があります。

裏側を見てみましょう。

このように丁度色あせた部分だけがはみ出てしまっていたんです。

つまり、色あせた部分にのみ、直接太陽の光が当たっていたということになります。

大切な写真がこのように色あせてしまっては悲しいので、窓際に飾る写真立てはしっかりと考えて買わなければいけませんね。

では、なぜ写真は色あせてしまうのでしょうか?

それは太陽光に含まれる紫外線が影響しているのです!

一体どういうことなんでしょうか?

まずは紫外線について説明していきたいと思います。

ちなみに写真の犬は5年前に亡くなった家族の愛犬『らぶちゃん』です。

とても優秀なラブラドールレトリーバーで、警察犬の資格を持っていました。

写真の大会では西日本代表として、臭いを識別する全国大会にも出場した経験があります。

大切な人とペットの死は何度経験しても慣れないものですね。

1.紫外線

太陽の光には『紫外線』が含まれています。

光とは波であり、その波長によって色が変わります。

人が色として認識できる光は可視光線と呼ばれ、紫よりも波長が短い目には見えないものを紫外線と呼んでいるのです。

そして紫外線の一部はオゾン層によって私たちがいる地上には届いてきませんが、届いてくる紫外線もあります。

このように地上に届いてくる紫外線が写真に影響を及ぼしているのです。

また、紫外線が影響を及ぼしているのは写真だけではありません。

紫外線は高いエネルギーを持っているため、なんと人のDNAを切断してしまうのです。

なんとも恐ろしいですよね。

しかし、安心してください。

私たちにはきちんと紫外線から身を守る術が備わっています。

その術こそが日焼けです!

メラニン色素が分泌されることで、DNAを紫外線から守ってくれているのです。

また、切断されても修復する機能も備わっています。

そんな恐ろしい紫外線の写真やポスターへの影響を知るためにはまず、どのようなインクで写真やポスターが印刷されているのか?

これを知る必要があります。

2.染料インクと顔料インク

写真やポスターはインクジェットの場合、主に2種類のインクで印刷されています。

それが『染料インク』と『顔料インク』です。

染料インクは色素分子が完全に溶けた状態であり、名前の通り紙に染み込むことで印刷されています。

一方で顔料インクの色素分子は溶けておらず、塊の状態なので紙には染み込まず、紙の上に吸着することで印刷されています。

では、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか?

染料インクは色素分子が完全に溶けているため、発色がクリアーで鮮やかです。

しかし、乾かすのに時間がかかったり、色素分子が水に溶けるため、水がかかると滲んでしまいます。

また、光に対しても耐久性が低くなっています。

反対に顔料インクの方はと言いますと、染料にくらべ発色は劣るものの、もちろん水に強く、光にも強いという利点があります。

この2つが水に対して強弱があることは水に溶けるか溶けないかの差であるため、すぐにお分かりいただけるかと思います。

ではなぜ、染料インクと顔料インクで光の耐久性に差が生じるのでしょうか?

この点を含め、紫外線による写真やポスターへの影響を説明していきたいと思います。

3.紫外線による2つの影響

紫外線が写真やポスターに及ぼす影響には大きく2つあります。

1つが色素分子の切断で、もう1つが紙の劣化です。

紫外線はDNAをも切断してしまうので、当然のように色素分子も切断してしまいます。

つまり、色素分子が切断されてしまうことで、色あせてしまっているということです。

この現象は顔料インクと染料インクの両方で起きますが、やはり染料インクの方が影響が大きくなります。

それはなぜか?

染料インクは紙に染みることで印刷されていますが、そのせいで色素分子が分散してしまっているのです。

一方で顔料インクは、色素分子が塊の状態であるため、多少切れたとしてもその影響は染料インクほどではありません。

そしてもう1つの紙の劣化ですが、インクの種類によってその影響が大きく異なります。

紙に色素が染み込むタイプの染料インクでは、紙自体にも紫外線が大きく影響してしまうのです。

本来ならば紙は白色のはずです。

つまり光をほとんど反射している状態であると言えます。

しかし、色素分子が紙に染み込んだ状態であると、紙自体にも紫外線の影響が大きくなってしまうのです。

紙も分子ですので、紫外線によって切断されることで劣化していきます。

最後に2つの違いを生むもう1つの理由として、顔料インクは色素分子が紙の上に吸着している状態であるということが、ポイントになってきます。

紙の上に色素があることで、紙自体に紫外線の影響が少なくなると言えます。

直接当たっていないんだからそうなりますよね!

このように、色素分子の状態と紙への影響の違いから、顔料インクと染料インクでは光に対する差が大きく異なるというわけです。

また、写真やポスターの色あせは色素分子が紫外線によって切断されているということと、色素が染み込んだ紙が紫外線によって劣化することによるものだったのですね!

4.さいごに

色素分子自体にも紫外線に対して強いや弱いがあります。

黄色や紅色の顔料は結合が弱いため、紫外線に対しても弱くなってしまいます。

しかし、藍色の色素分子はしっかりとした結合なので、紫外線に対しても強いと言えます。

この他にも色素分子はその構造や結合から紫外線への強弱があります。

色素分子にも結合や構造の違いから、紫外線に対して強い弱いがあるというわけですね!

セッジデザイン

今回のはデザイン情報ブログ『Sedge Design』を運営されているセッジさんの疑問から、
ヒントを得て記事にさせていただいております。

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そこで、以前もコラボさせていただいたきました。

その時の記事がこちらです。

今回は第2弾ということです!

なぜ絵具を混ぜると黒っぽくなるのか?視覚混合とは

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