【科学選書 Vol.3】すごい実験 感想・レビュー 多田将

2018年9月10日おススメ科学選書

皆さんは『ニュートリノ』をご存知でしょうか?

ニュートリノとは中性の小さな小さな粒子です。

物質をばらばらに分解し、これ以上分けられない素粒子の1つで、もちろん原子なんかよりもずっと小さく、それを観測することすら難しい存在なのです。

実は私たちの身の回りにはニュートリノが山ほど存在し、太陽から降り注ぐそのほとんどのニュートリノは、地球すらも通り抜けてしまいます。

もはやイメージすることも難しい存在ですよね。

このニュートリノは1930年にヴォルフガング・パウリが中性子をニュートリノの存在を予言し、証明されたのは、その約30年後の1950年年代です。

当時、中性子を分解し、陽子と電子にしましたが、その重さを足しても元の中性子の重さになりませんでした。

例えば、ガチャポンの中身を取り出し、中身とケースの重さを測るとどうなりますか?

足せば必ず元の開けてないガチャポンの重さと同じになりますよね。

つまり、質量保存の法則が働くはずなのです。

しかし、中性子を分解した時に、質量保存の法則が破られている!

質量保存の法則は全てには当てはまらないのではないのか?ということになったのですが、パウリは、中性子を分解した時に、もう1つ見つかっていない物質があると明言し、その物質をニュートリノと名付けたのです。

なかなかすごいお話ですよね!

では、なぜ小さくて観測が難しい粒を調べる必要があるのか?

それは、このニュートリノを理解すれば、宇宙誕生の謎を解明できるかもしれないからです。

この本の帯にも書かれている様に、もしそんなことができれば、間違いなくノーベル賞ものですよね!

本来、物質とその真逆の性質を持つ反物質がぶつかれば、消滅してしまいます。

しかし、なぜか宇宙には物質が多く存在し、反物質が少ないのです。

この謎を証明できれば、宇宙誕生の謎を解明できると言われており、ニュートリノとその反対の反ニュートリノを使用し、証明しようとしているのです。

そんなニュートリノの基本的なことについて、この本は一般的にわかりやすく説明してくれています。

また、著者である多田先生が中央大学杉並高等学校で授業した内容をまとめたものであり、高校生からの科学の質問に対しても丁寧に回答されているのも見どころの一つです。

例えば、相対性理論や、ライトセーバー、タイムマシンに至るまで、多田先生が回答されています。

小さなニュートリノを知る一歩となる本に間違いはありません。

 

1.本を読んでみて

金髪で長髪。

研究者のイメージとはかけ離れた容姿をされています。

もうこの時点でこの本は面白い!

皆さんもそんな気がしてくるはずです。

高校での授業を元に作られた本ということもあり、とても読みやすく、わかりやすいイラストとともにニュートリノの魅力に虜にされます。

また、ここで出てくる実験装置のスケールはとんでもなく大きなものです。

ニュートリノの実験は、茨城東海村にある加速器からニュートリノを打ち出し、295キロ先の岐阜県神岡にある検出器スーパーカミオカンデで検出することで行われています。

もうそれだけでもすごそうですよね。

ニュートリノはほとんど光の速さと同じスピードで295キロ先の検出器に1000分の1秒で到達。

直径、高さ共に40mある水のタンクであるスーパーカミオカンデで、ニュートリノが水分子に当たった時、検出されるというわけです。

ニュートリノはもの凄く小さて軽く、反応性が低く、地球すらも通り抜けてしまう存在です。

水がたくさん入った巨大なタンクを用いても、一日に数個しか検出することはできません。

スケールが大きいのか小さいのかよくわからないですよね!

この本を読んだ後、大阪市立科学館でスーパーカミオカンデの展示を見て、もの凄くテンションが上がったことを覚えています。

何かを学ぶということは、その人の視点や考え方を増やすことに繋がります。

ぜひ皆様にもニュートリノを学んで、科学館に行っていただきたいと思います。

そして、ニュートリノ研究によって宇宙の謎が解明されると良いですね!

目に見えないけれど、確実に存在するニュートリノはその存在自体は小さくとも、もの凄く大きな価値のある存在であることは間違いなさそうです。

これからの更なるニュートリノ研究が楽しみです!

2.本の詳細

『すごい実験』
高エネルギー加速器研究機構
多田将著
株式会社イースト・プレス
2011年8月10日初版