食品会社で使われるカタラーゼ検査とは?元大手お菓子メーカー勤務が解説!

2018年11月2日食品の科学

以前食品会社に勤めておりましたので、そこでは欠かせない科学のお話をさせていただきます。

食品会社ではいろいろな検査が行われています。

細菌検査や日持ち検査などなど、、、

私たちが安心して食品を食べられるのは、そのような検査がしっかりと行われているからです。

その中でも簡単で、かつ重要な検査があります!

『カタラーゼ検査』をご存知でしょうか?

このカタラーゼ検査を行えば、食品に異物(生物由来:虫、髪の毛など)が混入してしまった時、その異物が火が通る前なのか、それとも火が通った後なのか?を確かめることができるのです。

食品において、異物は決して入ってはいけませんが、万が一でも入ってしまうことがあるかもしれません。

記憶に新しい即席麺への混入事件のように、、、、

ただ、入ってしまったまま放っておくのは会社をつぶすことになりますよね。

また、入ってしまっては、信用問題に大きく関わってきますから!

なので、もう二度と同じ過ちを繰り返さないためにも調査と対策は欠かすことができません。

もし、異物が入ってしまったとしましょう。

すると、まずは対策をうつためにも、どの場面で入ったかを確かめないといけません。

どこで異物が入ったかわからなければ、対策のしようがありませんよね。

そこで、カタラーゼ検査を使えばどうでしょうか?

商品を焼いた前なのか、それとも商品を焼いた後なのか、というように大まかにではありますが、どの場面で入ったのかがわかりますよね。

つまり、生地を仕込む時なのか?もしくは焼き終わって包装する時なのか?が大まかにですが、分かるということです。

では、どのような反応なのでしょうか?

1.過酸化水素水の化学反応

カタラーゼ検査は、過酸化水素水の化学反応を利用します。

2H₂O₂ → 2H₂O + O₂

上のように、過酸化水素水が水と酸素へと変わる化学反応です。

過酸化水素水は常温では液体で、衣類漂白剤や消毒液に含まれていたりします。

消毒液を傷口に塗ったときにプクプク泡が出ることがありますが、それは酸素です。

この反応をどうやって利用するのかと言いますと、多くの生物の持つ酵素『カタラーゼ』が鍵となってくるのです

2.酵素『カタラーゼ』

酵素とは、反応を触媒するタンパク質であり、カタラーゼは上記の過酸化水素水の化学反応を触媒してくれるのです。
(触媒とは化学反応を速めてくれることです。)

また、カタラーゼは全酵素の中でも代謝回転数が最も高いという面白い酵素なのです。

カタラーゼが過酸化水素の化学反応を触媒するということは、異物(生物由来)に過酸化水素水をかければ、生物の持つカタラーゼがこの化学反応を触媒し酸素の泡が沢山でてくるわけですよね!

しかし!

それだけでは、火が通ったのかどうかなんてわかんないじゃないかと思われるかと思います。

なぜ、わかるのでしょうか?

そこにはタンパク質と熱の関係があります。

3.タンパク質の熱変性

ここで、タンパク質の特性について少し触れましょう!

タンパク質は熱が加わると変性してしまいます。

卵を思い出してください!

熱を加えた後、目玉焼きになると、冷やしても元には戻れないですよね。

また、人間もタンパク質でできているので体温が42℃を超えてしまえば修復できなくなってしまいます。

酵素もタンパク質なので、熱が加わると、変性し、その性質が失われてしまうのです。

だから反応を触媒できないんですね。

4.さいごに

異物がもし、焼かれる前に入ったとしましょう。

そうすると、異物には熱が加えられているということになり、カタラーゼは効果を失っていますよね。

つまり、過酸化水素水をかけても酸素がほとんど出てこないのです。

もちろん、火が通っていなければ酸素の泡が沢山出ます。

異物に過酸化水素水をかけるだけという簡単なカタラーゼ反応!

これがとても重要なんですよね。

ただし、全ての生物由来の異物に使えるというわけでは無いし、ご家庭で自分でやってみるというのもお勧めしません。

もし、買った食品に異物らしきものが入っていた場合には、きちんと販売元へ連絡し対処してもらいましょう。

SNSで拡散されることも多いですが、会社には沢山働いている方がおり、食品会社はイメージ第一ですので、最悪その行動が沢山の方の職を奪ってしまうことにもなりかねません。

絶対に異物が入らないように会社はすべきだし、嫌な思いをするのはわかりますが、SNSでの拡散はしない方が良いと思います。

今回出てきた酵素や触媒がいまいちわからない人がいると思いますので、そんな方々に向けて酵素のお話も今後していきます。

⇩酵素についての記事。