【食品の科学】遺伝子組み換えとは?簡単に解説!

2018年11月5日生き物の科学

食料品の原材料をみると、遺伝子組み換え食物を使用という表示や遺伝子組み換えでないなどの表示を目にすることがあると思います。

全ての場合ではありませんが、日本でも表示義務があるので原材料を見てみてください。

きっと書いているはずです。

そして、皆様の中には遺伝子組み換えは体に悪い!というような情報を鵜呑みにし、避けて買っている人もいるかもしれません。

ではそんな皆様に質問です。

遺伝子組み換えの意味を知っているでしょうか?

その意味も知らないのにイメージでこの食品はだめだと決めつける方が私は危ないと思います。

きちんとどのような技術であるかを理解し、だめかだめじゃないかは自分で判断しましょう。

ということで今回は遺伝子組み換え食品が体に悪いか悪くないかというような議論は置いておいて、遺伝子組み換えとはどういうことなのか説明していくことにします。

とその前に遺伝子とはなにか?から説明していきますね。

1.遺伝子

遺伝子は皆さんもご存知であるかと思います『DNA』から成り立ちます。

このDNAとはデオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid)という物質で、私たちを形作っている細胞一つ一つの核に存在しているものです。

そして、DNAは二重らせん構造をとり、細胞の中の細胞核というところに折りたたまれて収納され、なんと人の細胞一つあたりのDNAをつなげると2mにもなります。

細胞一つで2mですよ!すごくないですか?

さらに体全体の細胞のDNAを繋げると、地球と太陽の長さの500倍になると言われています。

想像もつかないくらいの長さのDNAが人の体には存在しているわけですね。

また、このDNAは言わば設計図であり、その中でも遺伝形式を決定する情報が書かれている部分を遺伝子と言うのです。

まさに、生命活動に必要なタンパク質の合成はここから始まるのです。

DNAはA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)このたった4つの塩基の並びでできています。

AはTとGはCと水素結合し、良く知られている二重らせん構造を取っています。

この塩基配列を読み取り、いろいろな過程を経ることで生命活動に必要なタンパク質が合成されていきます。

とにかく、DNAはタンパク質を合成するための設計図であり、遺伝子とはその中でも遺伝形式を形成する部分である。

ということがわかったと思います。

では、遺伝子組み換えとはどういうことなのでしょうか?

2.遺伝子組み換え

人々は昔から交配を用いて、新たな品種が作られてきました。

つまり、どういうことか?簡単な例えで説明しましょう。

今よりももっと甘い果物を作りたいとします。

そこで、今ある果物の中でも実が甘い個体を選抜してきて、甘い個体同士で繰り返し子孫を作らせていくのです。

米やイチゴなどは昔からたくさんの交配がされてきており、様々な形質の品種が確立されています。

金魚の種類がたくさんいるのもこの交配が昔から盛んに行われてきたからです。

金魚の交配の歴史はなかなか面白いので、機会があればまた紹介したいですね。

興味がある人は調べてみて下さい。

話が脱線したので戻しますが、この方法では同じ種同士、もしくは近い種類同士でしか交配できないので、いきなりすごい特性を持った奴や、他の種が持つ独特の特性を得ることはできません。

例えば、人なのに、カエルのような水かきを持っている!みたいに。

そこで誕生したのが遺伝子組み換えです。

そもそもの遺伝子を組み替えてしまうので、他の種の特性を取り入れることができます。

遺伝子を組み替えるということはつまり、設計図であるDNAを書き換えるということです。

では、どのようにして設計図を書き換えるのでしょうか?

現在に至るまで、遺伝子を組み替える方法はいくつか開発されてきました。

今回はもっとも代表的な遺伝子の組み換え方法を説明していきたいと思います。

3.アグロバクテリウム法

遺伝子組み換え方法はいくつかあるのですが、今回はその中でももっとも代表的なアグロバクテリウム法を説明します。

そこで用いられるアグロバクテリウムとは、植物に感染し自らのDNAを送り込み、腫瘍を発生させる土壌細菌です。

この自らのDNAを送り込むというところを利用しています。

安心してください!こいつは人間には感染せず、双子葉植物にしか感染しないので!

では、具体的に組み換え方法に移っていきましょう。

アグロバクテリウムを含む、細菌や酵母は人間のように折りたたまれてるDNAの他にも、実は独立して複製できるDNAを持っています。

これを『プラスミド』と呼び、このプラスミドをアグロバクテリウムから取り出します。

次に取り出したプラスミドのDNA配列の特定の部分を酵素を使用し切り取るのです。

そして、切り取った部分に目的の遺伝子を入れ込みくっ付けます。

さらに、遺伝子を書き換えたプラスミドを再びアグロバクテリウムに戻すのです。

最後に、この組み換え遺伝子をもったアグロバクテリウムを、植物に感染させ遺伝子を送り込んでもらえば遺伝子組み換えは完了というわけです。

送り込んだ遺伝子から目的のタンパク質が合成されて、今まで持ってなかった特性が現れれば、植物は遺伝子組み換え植物となるわけです。

植物の持つ設計図に新たに特性を書き加えるというイメージです。

設計図を直接書き変えてしまうという技術なんですが、代表的な遺伝子組み換え植物をご紹介しましょう。

4.遺伝子組み換え植物

実は遺伝子組み換え植物は身の回りにたくさん溢れています。

トウモロコシはその筆頭です。

Btコーンと呼ばれるトウモロコシが特に有名で、このBtコーンは害虫が食べると死んでしまうBtタンパク質を合成し、自ら害虫から身を守ることができる遺伝子組み換え植物です。

BtとはBacillus thuringiensisとよばれる真正細菌の略であり、この細菌の持つ特性を植物に組み込んでいるのです。

自らが身を守れるので、殺虫剤を大幅に減らすことができます。

ここで虫を殺す恐ろしい植物が人間には害はないのか?と思われる方もいるのではないかと思います。

結論から言うと害はありません。

虫を殺すBtタンパク質は虫の消化官でその効果を発揮します。

虫の消化官は人間と違ってアルカリ性です。

Btタンパク質はアルカリ性で分解されると毒素となり、消化管の持つ受容体と結合し虫を苦しめるのです。

しかし、人間の胃は酸性であり、さらには毒素と結合する受容体を持っていないので無害と言われています。

他にも除草剤に対して強い遺伝子を導入した植物は、除草剤で他の植物は枯れても、遺伝子組み換えの植物は枯れないので草むしりなどをする労働がなくなります。

5.遺伝子組み換え植物に負けない害虫

Bt遺伝子をもつトウモロコシは害虫を自ら殺しますが、それでも死なない個体は出てきます。

この個体同士がどんどん交配され、Btタンパク質に強い害虫も出てきているそうです。

確かに遺伝子組み換え作物は労働力を減らし殺虫剤の量も格段に減らすことができるので、メリットも多いですがこのようなモンスターのような害虫を生み出してしまう可能性もあります。

また、遺伝子汚染といって、自然の植物の遺伝子をもむしばんでしまう可能性があるのです。

遺伝子組み換え植物の花粉が飛んで行って、自然の植物と交配してしまうために起こります。

このようにメリットもデメリットもたくさんあるのが遺伝子組み換えなんです。

6.さいごに

動物にも遺伝子組み換えをして新たな特性を持たせる技術があります。

これは安全面、倫理面、たくさんの問題が発生しています。

遺伝子組み換え動物がもし、自然に出て行ってしまえば大変ですよね。

技術の進歩は私たちの生活を助けてくれるだけではないこともあるのです。

ただ、今回の遺伝子組み換え植物に関して、世の中では一部の否定的な意見が取り上げられ、そこに注目が集まってしまっているのも事実です。

また、農薬だって体に悪い成分はたくさんあるし、遺伝子組み換え植物を使うことで農薬を減らすことができているのは間違いなく、草むしりなどの我々の労働力を減らしてくれているのも事実。

そして、研究者たちは必至で安全性を確かめてくれているのも事実です。

遺伝子組み換え植物が体に悪くないとは言い切ることはできないし、悪い可能性だってあります。

表面だけをみてすべてを否定するのではなく、よく考えて、学んだうえで自分で判断することが大事なのではないでしょうか?

まぁ最終的には自給自足で自分ですべてを作ってしまうのが、何よりも安全といえるのかもしれませんね。

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