遺伝子検査などで話題のDNAとは?簡単に解説!

2020年4月24日身体の科学

最近、DNA検査キットが最近流行ってきています。なんと、太りやすい体質の人やどのような病気になり易いか、さらには祖先までも簡単なDNA検査キットで遺伝子情報を確かめれるというのです。

このようなDNAキットを購入したら、皆さんのやることは多くの場合、唾液を検査施設に送れば良いだけ。たったそれだけで検査結果が送られてくるというわけです。凄い時代になってきたんだなと感じます。

では、DNA、DNAと言いますが、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?恐らく『設計図』だと思います。設計図で間違いはありませんが、設計図を書いている文字。と言った方が正しいでしょう。DNAはあくまで物質ですから。

では、どのように設計図が描かれているのか。実は、たった4種類の塩基の羅列、A、T、G、Cの組み合わせでできているのです。

何だか単純な羅列のように思いますが、人の1つの細胞にあるDNAには、この塩基対が約30億個も並んでいます。そして、1つの細胞の中にあるDNAの長さは2メートル。人が持つ細胞37兆個をすべてつなげると、なんと、地球と太陽の距離の500倍にもなるのです。

このとても長いDNAが、人の手によって解読されるようになった当初、1000個の塩基を読むのに3日かかっていました。30億個全ての文字を読むのは、途方もない作業です。時間もさることながら、かかるコストも半端じゃありませんでした。

しかし、現在の技術の進歩はすさまじく、一般の方が簡単に遺伝子キットを購入し、低価格で検査できるようになったのです。ここでは、そんなDNAについて、基本的なことを解説していこうと思います。

1.DNA

DNAはdeoxyribonucleic acidの略であり、日本語ではデオキシリボ核酸と呼ばれています。

このような2重らせん構造をしており、ヒトの場合、1つの細胞内にあるDNAを合わせると、全長は2メートルにもなるのです。そんなに長いのに小さな細胞の中で絡まり合わないのが本当に不思議ではないでしょうか。

DNAはお互いが絡まり合わないように、ヒストンという円盤状のタンパク質に2回転巻き付き、それがたくさん細胞の核の中に納められているのです。あんなに短いイヤホンでも絡まるのに、本当にすごい。

では、このDNAは何からできているのでしょうか?DNAはリン酸、デオキシリボース、4種類のプリン塩基でできています。リン酸とデオキシリボースは以下の通りです。

この2つがらせん状の鎖を作り、その間に塩基があります。そして、その4種類の塩基とは以下の通りです。

A:アデニン T:チミン C:シトシン G:グアニン

4種類の塩基は鎖の間にあり、水素結合によって繋がっていますが、水素結合は強い結合ではありません。共有結合のように強い結合ではなく、電子を共有しない非共有結合なのです。

また、AはTと、CはGと必ず対になって水素結合しており、配列を形成しています。そして、私たちが検査してもらうのは、この塩基配列であり、1つの細胞に30億個もあるというわけです。

このように、デオキシリボースに塩基がくっついたものをヌクレオシド、さらにそこにリン酸が付いたものをヌクレオチドと呼んでいます。つまり、DNAはヌクレオチドがたくさん連なってできているというわけです。

では、この塩基配列をどのようにして読み解くのでしょうか??

2.DNAシーケンシング

DNAの塩基配列を決定することを『DNAシーケンシング』と言います。もちろん顕微鏡でDNAの配列を1つ1つ確認していくわけではありません。では、どのような方法で配列を読んでいるのでしょうか?

一番初めにDNAが解析された方法はサンガー法と呼ばれ、この手法を発案したウォルター・ギルバードとフレデリック・サンガーはノーベル化学賞受賞しています。サンガー法はDNA断片を作製し、その長さを比べることで、塩基配列を読む手法です。例えば、AAGCATGATAの遺伝子を読んでみましょう。

AでこのDNAを切るとどうなりますか?

ができますよね。次にTで切ってみましょう。

ができます。Gではどうでしょう。

最後にCで切ります。

となりますよね。では、これを分子量が小さいものから並べてみましょう。

このようになるはずです。そして、この右端を読めばDNAの配列が分かりますよね。このような手法が確立された当初は、3日かけて1000塩基読んむという途方もない作業です。

しかし、このサンガー法を応用し、どんどん技術が発達することで、DNA検査が身近なものとなってくれたのです。また、このDANシーケンシングは私たちの検査意外にも、生物の進化学なんかにも大きく貢献しています。

DNAを調べることで、どの生物と近い種なのかがわかるということです。例えばコウモリは馬に近いんですよ。

3.DNAは設計図

そもそもDNAはなぜ『設計図』とよばれているのでしょうか?それは、DNAの塩基配列を元に、体のタンパク質が合成されるからです。ただ、ここで注意しなければいけないのは、DNA=遺伝子ではないということです。

DNAはとても長い塩基配列ということはこてまでのお話で理解していただけたと思います。しかし、DNAの塩基配列全てが、設計図とはならないのです。

遺伝子とはDNAの読み取られる情報が書かれている部分のことを言います。つまり、DNAとは長い塩基配列そのもののことであり、遺伝子とはDNAの中の情報が書かれている部分なのです。

そして、ひとそれぞれDNAが異なるおかげで、その特徴が生まれます。ただ、人それぞれ違うといってもほとんど同じであり、その違いはわずか0.1%でしかなく、チンパンジーと比べても1%しか違わないのです。さらに言えば、私たちと虫は60%同じ。

もちろん、DNAは似ていてもその中の遺伝子の部分はかなり違いがあるようです。ん?ここで疑問に思う方がいるかもしれません。なぜ必要ない情報までもDNAに含まれているのか?遺伝子の部分だけで良いじゃないか!

わざわざDNAから遺伝子の部分を取りだしてタンパク質を合成するのは2度手間のような気もしますよね。実はその答えは遺伝子の変異が関係していると考えられます。

遺伝子にはまれに変異が起こります。それこそが突然変異です。紫外線などの外部の因子で傷つき、それを修復する時、また、DNAを複製する時などにこの変異が起こるのです。

修復と複製はもの凄く正確に行われますが、まれに間違えて変異が起きることがあります。通常、この変異は大きな変化にはなりません。しかし、その変異の蓄積と、たまにタンパク質を構成する重要なアミノ酸の情報が書き換えられてしまうことで、形質として現れるのです。

その形質の変化は環境に対して有利な状況に働くわけではなく、有利になるか、不利になるかどっちになるかはわかりません。変異はランダムに自分から起きるわけじゃありませんもんね。

もし、その突然変異が有利に働き、他の個体よりも生き残れば、その遺伝子は残されていきます。この積み重ねが進化というものです。

つまり、突然変異は有利に働く場合も、不利に働く場合もあり、生物学的な進化とは自然によって有利な遺伝子が残されていくことであるのです。

ここで話を戻しましょう。突然変異による遺伝子の変化は、不利に働く場合のことも多く、極力生物たちはそれを避けたいですよね。もし、重要な部分しか無いとします。すると、修復や複製でミスした部分は全て突然変異に繋がってしまいことになります。

それでは生存に不利な可能性が大きいので、遺伝子では無い部分がDNAは多く残されているのでしょう。

4.さいごに

DNAシーケンシングの技術が発展し、私たちはすぐに自分のDNAを調べることができるようになってきました。そのおかげで、どんな病気になり易いかを調べ、自分に合った治療を受けることができます。

しかし、注意しなければいけないこともあります。それが遺伝子差別というものです。遺伝子検査によって人を判別し、病気になりやすいから、性格がどうとか、そのようなことを判断してしまう時代が来るかもしれないのです。

親から受け継いだ人それぞれ異なる特別な遺伝子。遺伝子で判断されたくはないですよね。また、生まれる前に遺伝子操作をし、どんな人間にしたいか、デザイナーベビーと呼ばれるが生まれるかもしれないということです。

遺伝子操作をした生物はもうすでに生み出されています。今後、このような技術がどのような道を歩んでいくのか、心配なところではあります。

最後に今回のイラストを作成してくださったセッジさんにこの場をお借りして御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

Sedge Design

今回の迫力あるDNAのアイキャッチ画像に目を惹かれた方も多いのではないでしょうか?これはセッジさんに依頼し、作って頂いたイラストなのです。また、この記事中に使用させていただいているイラストは全てセッジさんに作成していただきました。セッジさんはデザイン系のブログ

https://www.sedge-design.com/

を運営されておられます。

ここでは、初心者向けのAdobe illustrator AfterEffects講座を公開しているだけでなく、ご自身と娘さんの体験を元に美術高校の選び方なども解説されています。他にもデザイン系のネタも多く、全くデザインについて知らない人でもすぐ興味が湧いてくるはずです。

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今回、突然の依頼だったにもかかわらず、早急にイラストを作成してくださって本当にありがとうございました。