IHが鍋を温めれるのはなぜ?その仕組みを簡単に解説

2018年11月5日身の回りの科学

最近では当たり前になってきているIH。

昔はやはりガスコンロが主流で、青い炎が鍋を温めているので、あったかくなる理由は一目瞭然、見ればわかりましたよね。

しかし、IHはどうでしょう?

鍋を離せば止まってしまうし、IH自体が熱くなっているわけではありません。

※鍋からの熱でIH自体も熱くなるので、調理後すぐには触らないでね!

謎は深まるばかりです。

また、料理をしている時に、ひっくり返そうと、フライパンを外すたびにピッ!ピッ!と言われてしまうので、ちょっとくらいええやんか!

と思わず関西魂から突っ込んでしまいますが、ガスよりも危険が少なくて、安心して料理ができるのは間違いありません。

では、IHはどのようにして鍋を温めているのでしょうか?

その原理を簡単に言ってしまうと、『電磁誘導』によって鍋に『渦電流』を発生させ、その電流の抵抗が熱となって鍋自体を温めているのです。

この一言ですべてを理解できる方は、この記事は読まなくていいと思います(笑)

しかし、大半のかたはこの一言ではわからないと思います。

なので、順を追って説明していきたいと思います。

1.磁石の磁場

電磁誘導の話をいきなりするのではなく、基本的な磁石のお話からしていきましょう。

ご存知だと思われますが、磁石はS極とN極でできています。

そして、S極はN極のように違う極同士はくっつくけれど、S極とS極のように同じ極同士は反発します。

・S極、N極同士は反発
・S極とN極はくっつく

では、磁石を真っ二つにしてみるとどうなるでしょうか?

S極やN極だけの磁石になるどころか、どこで磁石を切っても、両方の性質を持つ磁石になるのです!

また、磁石は『磁場』というものを持っています。

紙の上に砂鉄をまいて磁石を置いてみて下さい。

そうすると視覚的に磁場をみることができるはずです。

これは普通では見えないエネルギーの線である磁力線を見ているのです。⇩

次に、コンパスを磁石に近づけるとどうなるでしょうか?

コンパスは磁力線の通りに向きを変えるはずです。

ちなみに地球は大きな磁石なので、地球は弱いですが大きな磁場を持っています。

だから、何の目印も無い海の上でさえ、コンパスを使えば方角がわかるのです。

そういえば、カメも磁場を感知し、自分のいるところを確かめているそうですよ!

また、磁石に近づけば近づくほど磁力線は強くなっていきます。

つまり、近いほど引き付ける力が強く働くのです。

磁石同士(N極とS極)を近づけると勝手に引っ付いてくれますよね!

逆の場合(同じ極同士)は近づけたくても反発し合います。

力をいれてもくっ付かないですよね!

ここまでは磁石の基本的なお話でしたが、重要なキーワードである『電磁誘導』について説明していきます。

2.電磁誘導

針金や金属をぐるぐるに巻いて作ったものを『コイル』と言います。

⇧このような感じで金属を巻いたものです。

恐らくどこかで見たことがあるはずです。 

なんと、このコイルに電流を流せば磁場が発生するのです!

つまり、コイルに電気を流せば磁石となるわけですね。

そして、このコイルの巻きが多ければ多いほど磁力は強くなり、強い電流を流せば流すほど磁力は強くなるのです。

コイル磁石は巻きの数と電流の大きさが重要なわけですね!

しかし、このコイルは電気が流れていなければただの金属の塊です。

そうです!

こいつはただのコイルでしかないありません。

このただのコイルに磁石を近づけてみましょう!

一体どうなるのでしょうか?

コイルには磁石の磁場がかかりますよね。

するとコイルの中を通り抜ける磁力線を打ち消そうと、コイルも磁場を作ろうとします。

先ほど電気が流れるとコイルは磁石になり、磁場を持つといいました。

なんと!この逆がおきるのです!

つまり、磁場を作るためにコイルへ電流が流れるのです!

このことを『電磁誘導』と呼んでいます。

コイルに磁石を近づければ電気が生み出せるんですね!

この電磁誘導が水力発電発電、火力発電、原子力発電などに使われているのです。

このようにコイルに磁石を近づければ、電流を生み出せることはお分かりいただいたと思います。

では、次に金属の板に磁石を近づければどうなるのでしょうか?

3.渦電流

では、金属の板に磁石を近づけてみましょう!

磁石の磁力線は金属の板に降り注ぐことになりますよね。

ここで、金属の板はコイルと同じようにこの磁力線を打ち消そうとします。

つまり、金属の板も磁場を形成しようと電流が流れるのです。

電流は自由電子の動きによるものです。

電気について詳しくは⇩をご覧ください。

つまり、金属の自由電子が動き出し、電流が流れ出すのです。

そして、電流が流れることで磁場を形成し、磁石からの磁力線を打ち消そうとします。

この金属の板に流れ出す電流こそが『渦電流』なのです!

さらに、この磁石を右に移動させてみましょう。

すると、今まで磁力線がかかっていたところは、磁石との距離が遠くなったので磁力線の量が減りますよね?

そして、こんどは磁石に近くなったところは、さっきよりも多く磁力線が降り注ぐことになります。

すると、少なくなったところには引き戻そうという磁力が生まれるのです。

つまり、さっきとは逆の渦電流が生まれます。

また、近づいたところには、さっきと同じように新たに渦電流ができるのです。

このように、磁石を移動させれば、逆向きの渦電流も発生させることができるというわけです。

また、電流はすんなり流れるわけではありません。

電流が流れる時には抵抗が起きるのです。

この電気抵抗によって熱が発生するというわけです。

では、IHはこの渦電流をどのように活用しているのでしょうか?

4.IHのしくみ

IHには先ほどの簡易的なコイルの絵なんかよりも立派なコイルが搭載されています。

このコイルに電流が流れることによって、電磁場が発生するのです。

つまり、磁石になるということですよね!

その結果、先ほど説明したように、コイルの電磁場は鍋の底に渦電流を発生させます。

そして、この渦電流が流れる電気抵抗によって、熱が発生するというわけです。

さらにもう一つポイントがあります。

コイルに流される電流、つまりコンセントから流れてくる電流は『交流電流』です。

この交流電流とは1秒間に50もしくは60回、電圧が正と負で交互するのです。

※発電機の違いで関西では50回、関東では60回入れ替わるよ!

もっと簡単に言いましょう。

正と負が交互するとは、性質が交互に入れかわるということです。

つまり、磁石を右、左に移動させているのと同じことになるのです。

先ほど、磁石を移動させれば逆向きの渦電流も生まれるといいました。

これを繰り返しているってことです。

このようにしてIHは自らが磁石となり、渦電流をなべ底に絶えず発生させ、鍋自体を温めているというわけです。

5.さいごに

つまり、鍋は電流が流れないものや磁石にくっ付かない物は使えないということです。

例えば土鍋とかは陶器なので金属ではありません。

それでは、使えないですよね。

ただ、今まで使っていた土鍋などでも、金属板を敷くことで、使えるアイテムも売っています。

IHの原理がわかれば鍋選びにも苦労しなさそうですね。

また、IHは鍋自体を温めるので、本体は熱くなりません。

しかし、鍋の熱で本体が温まるので、十分気を付けましょう!