【驚愕】我々は運動時、乳酸とは戦っていなかった!

2018年11月5日身体の科学

筋トレや、きっつい運動をしたときにこんな発言をする方も多いのではないでしょうか?

「うわー乳酸溜まってきたわ」

私も以前は口ぐせのように使っていました。

ある筋肉番組では、「乳酸との戦いだ!」のような解説がされていたため、皆さんの頭の中では乳酸は明らかな悪者になっているのではないでしょうか?

それも当然、昔の研究では、筋肉の収縮に伴い乳酸が増加するので、それが疲労の原因であると言われていたのです。

しかし、最近の研究では、乳酸は疲労物質ではないということが明らかになってきました!

むしろ、乳酸がいてくれることで、筋肉の収縮が持続できることが明らかになったのです!

なんということでしょう!

悪者と思われていた乳酸が、実は私たちを助けてくれるヒーローだったのです!

ごめんよ乳酸、、、、

では、どのように助けてくれるのでしょう!

今回は筋肉から説明していきたいと思います。

1.筋肉

私たちは筋肉のおかげで自由に手足を動かせるし、動かそうとしていなくても筋肉でできた心臓は動いています。

これはすべて筋肉が収縮するおかげですよね。

そんな筋肉は大きくわけて、骨格筋と心筋を含む横紋筋と、内臓筋を含む平滑筋に分けられます。

さらにこの中でも意識して動かすことのできる随意筋、意識せずとも動いている不随意筋に分けることができるのです。

骨格筋は私たちの姿勢を保つために意識的に動かすことができる随意筋であり、勝手に動いてくれる心臓の心筋は不随意筋。

平滑筋は血管や消化管を構成する内臓筋で不随意筋となります。

不随意筋は意識せずとも動いてくれているので私たちは生きることができているのです。

さらに、筋肉は『赤筋』と『白筋』に分かれています。

簡単に言えば赤っぽい筋肉か、白っぽい筋肉です。

この違いは酸素を使う場所まで運んでくれているミオグロビンの量によって決まります。

もちろん名前の通り赤筋はミオグロビンがたくさんあるので酸素が豊富であり、そのおかげでゆっくりした運動を持続的に行うことができるのです。

つまり、呼吸したり、心臓を動かしたりというような、ゆっくりと持続的に行う臓器などに多く存在しています。

逆に白筋は筋原繊維といって、束になった筋細胞がたくさん存在しているので、素早く収縮することが可能です。

では、これらの筋肉はどのように収縮しているのでしょうか?

2.筋肉の収縮

筋肉は二つのフィラメントが滑ることで収縮しています。

これを滑り説と言いますが、なんのこっちゃわからないと思うので簡単に説明していこうと思います。

筋肉には筋繊維束という組織があります。

これは筋原繊維束の集まったもので、筋原繊維束は筋原繊維の集まったものです。

この筋原繊維には「アクチンフィラメント」と、「ミオシンフィラメント」があります。

また、このアクチンフィラメントとミオシンフィラメントの集まりの最小単位が『サルコメア』です。

つまり、筋肉は2種類の繊維の集まりでできており、その最小単位をサルコメアと呼んでいるわけですね!

そして、このアクチンフィラメントとミオシンフィラメントは軽く互いに手を取り合っています。

完全にはくっ付いていない状態で、それぞれが交互に存在しているのです。

これはアクチンフィラメントにトロポミオシンなどのタンパク質が、すでにくっ付いてしまっているので完全にはくっ付けないようになっています。

では、ここで筋肉を動かしてみましょう!

脳から指令がくだり、神経を通り筋肉まで命令がきます。

するとアクチンフィラメントにある筋小胞体から、カルシウムイオンが放出されます。

カルシウムイオンがアクチンフィラメントにくっ付いて邪魔していたタンパク質とくっ付くことで、アクチンフィラメントはミオシンフィラメントとお互いにくっつける体制になれます。

そして、ここでATPがでてきます。

動かすにはエネルギーがいりますよね!

そのエネルギーこそがATPです。

ATPはエネルギー通貨ともよばれ、分解してエネルギーを得ることができます。

このエネルギーのおかげでアクチンフィラメントとミオシンフィラメントは、滑っていきくっ付きくことができるのです。

こうして筋肉が収縮しているわけなんですね。

2種類の繊維がくっ付いたり離れたりすることが、筋肉の収縮ということ!

このように筋肉の収縮はカルシウムイオンの濃度の変化で起こっています。

しかし、カルシウムイオンの濃度変化はもちろん、カルシウムイオンだけでなせる業ではありません。

細胞内に存在するカリウムイオンとナトリウムイオンにも動きがあることで、カルシウムイオンが出たり入ったりできるのです!

ただ、ずっとこのような筋肉の収縮を繰り返すと、カリウムイオンの移動が間に合わなくなってきます。

そこであのヒーローがやってくるわけです。

ヒーローとはいったい誰なんでしょうか!!??

3.ヒーロー(乳酸)登場

筋肉が収縮を繰り返すとカリウムイオンの移動が間に合わなくなってきます。

カルシウムイオンが移動できなくなると細胞内外に電荷の偏りが生じてしまいます。

つまり、+に偏ってしまうということです。

これでは筋肉を収縮させることができません。

この時、他の所からヒーローがやってくるのです。

では、どこからやってくるというのでしょうか?

実はそいつはとても身近なところにいました。

筋肉を収縮させ続けるにはエネルギーがたくさん必要です。

つまりATPがたくさん必要と言えます。

筋肉には糖が蓄えられていて、これを分解することでATPを得ているのですが、この時に分解されて出てくるのが乳酸です。

だから昔は乳酸が疲労物質だと考えれれていたわけなんですね。

乳酸がどんどん蓄積していくと、筋肉の酸性度が高くなってきます。

さっきカリウムイオンのせいで、筋肉の細胞と細胞外には正電荷の偏りが生じていましたよね!

しかし、乳酸が蓄積(酸性=マイナス)することで、+への偏りを抑えることになります!

その結果、筋肉は再び収縮を可能にするわけです。

また、乳酸はATPを合成するのに再び使われていくのです。

なんということでしょう。

乳酸はカルシウムイオンの働きを維持するだけではなく、ATPまで与える役割をしてくれていたのですね!

本物のヒーローです!!

疲労物質だと考えられていた乳酸は、筋肉の収縮を維持させるために必須だったわけですね!

では、本当の筋肉疲労の原因はなんなのでしょう?

4.本当の悪者

私たちは今まで筋肉疲労の原因は乳酸であると決めつけていました。

しかし、乳酸はヒーローであり、私たちを助けてくれていたのです。

では本当の悪者は誰なんだ!!!

いったい誰が、疲労を感じさせているのでしょうか?

それはファティーグファクター(FF)とよばれるタンパク質だったのです。

運動で酸素を沢山取り込んだ結果、体には悪い活性酸素が発生してきます。

この活性酸素は細胞を傷つけてしまいます。

この活性酸素が細胞を攻撃するときにFFが出てきて、FFが脳に「疲れてるよー」というような信号をだすのです。

また、これと同時に攻撃された細胞を修復してくれるファティーグリカバー(FR)というタンパク質が出てきます。

なので活性酸素に攻撃されてもFRが守ってくれています。

攻撃されすぎると修復が大変になってしまうので、FFが早めに脳に信号を出すことで筋肉を守ろうとしてくれているのです。

疲労を感じさせるFFですが本当に悪いのは活性酸素ですね。

本当の悪者は活性酸素だったのです!!!

FFは疲労を感じさせることで細胞が攻撃されることをしらせてくれているので、むしろええやつ。

さらに活性酸素から守ってくれるFRはもっとええやつってことになります。

5.さいごに

これまで乳酸はヒーローだったにも関わらず、悪者呼ばわりされても私たちを助けてくれてました。

本当の悪は活性酸素です。

活性酸素は細胞を攻撃し、老化の原因にもつながるとんでもない悪い奴です。

運動した後はしっかり筋肉のケア、そして休息をとることが大切ですね!

もう『乳酸』のことを悪くいえませんね。

【アドレナリン】