犬の嗅覚がすぐれているのはなぜ?においを判別する仕組みを解説!

2020年3月19日生き物の科学

みなさんもよく知る警察犬は犯人のにおいをたどり事件の解決をしてくれますよね。

一般的に犬は人間よりもはるかに嗅覚が優れていると言われています。

なので、そんな犬たちは警察犬として事件解決に協力してくれているということです。

では、なぜ犬の嗅覚は人間よりも優れているのでしょうか?

また、私たち人間も臭いを感じることができますが、そもそも人間や犬はどうやって臭いを感じ取ることができるのでしょうか?

今回はまずにおいとはなにか?というところから、嗅覚について説明していきたいと思います。

1.におい

私たち人間や犬は嗅覚といって、臭いを感じ取ることのできる感覚を持っています。

そもそも『におい』とはなんなのか?

それは気体になった化学物質です。化学物質は気体の状態で、鼻に入ってきて鼻の粘液に溶けるのです。

例えばプラスチックなど、無臭のものがあると思います。

このような無臭の物体には、揮発性がありません。要するに、気体になることができないということです。

気体でない物のにおいを私たちは、感じることができないので無臭となるのです。

また、嫌なにおいってありますよね?

嫌な臭いはだいたい体に良くなかったりするのですが、例えば臭い代表アンモニアも体にはよくないので悪臭と感じます。

鼻にツーンとつくような刺激臭ですよね。

また、食べ物を食べる時私たちは無意識のうちにその匂いを嗅いだりしますよね?

本能的に匂うことで、その食べ物が安全か?ということを見極めているのです。

また、逆もしかり美味しいという判断にはにおいにも大きく影響しています。

鼻をつまんでご飯を食べてみて下さい?味がほとんど感じなくなったのではないでしょうか?

嗅覚は味覚とも大きく関係しているのです。

では、私たち人間や犬はどのようにしてにおいの違いを判断しているのでしょうか?

2.においを判別できるしくみ

空気中に漂うにおい物質が、鼻の中へやってきます。

すると、粘液にその物質が溶けて鼻の中にある鼻嗅細胞によってその物質は感知されることになります。

では、その物質の違いはどのように感知されるのでしょう?

嗅細胞は、におい物質と結合することができる『嗅覚受容体』を持っています。

この受容体は、1つの嗅細胞に1種類ずつ存在していて、人間の受容体の種類は347種類あると言われています。

細胞の数が、347個しかないわけではないですよ!もっと多くああります。

おおよそ10cm²の範囲に数千個、嗅細胞が存在しているのです。

また、この受容体は決まったにおい物質と結合するのではなく、何種類かのにおい物質と結合することができるのです。

また、におい物質が嗅覚細胞の受容体と結合すると電気信号が発生し、嗅神経を伝わって脳にある嗅球という場所で情報が処理されます。

最終的には、嗅球で処理された情報は脳のいろいろな部分に伝わっていき、記憶であったりさまざまな情報へと変換されていくのです。

においの判別はこの受容体がどのようなパターンでくっつくかで判別されていると言われており、そのパターンは数千から数万とも考えられます。

では、人間と驚異的な嗅覚を持つ犬は、なにが違うのでしょうか?

3.人間と犬の嗅覚の違い

犬は人間の嗅覚の100万倍~1億倍もの能力をもつと言われています。

どうりで簡単に犯人を見つけられるわけです!

では、なぜそんなにも優秀な能力を持っていると言われるのでしょうか?

実は、冒頭でもお話した通り基本的ににおいを判別する方法は人間も犬も同じです。

じゃあ何で犬の方が優れているんだよ!一体どこが違うのでしょうか?

先ほど臭いは嗅細胞の受容体に結合するパターンによって判別できるといいました。

つまり、嗅細胞の数が多ければ多いほどにおいを判別することができると言えるのです。

種類によって異なりますが、犬はなんと人の4倍の約2億個もの嗅細胞を持っています。

それなら確かに嗅覚が良いと言われるのも納得ですよね。

たくさんの細胞から生まれるたくさんのパターンがあるので、においをかぎ分ける力が抜群に強いというわけです。

でも待って!犬と人間ってそんなに鼻の大きさに差はあるかな?4倍も細胞が多いなんて考えられない!細胞が多いってことは鼻も大きくなるんじゃないの?

実はこんなに多くの嗅細胞を持つことができるのには、犬の鼻の構造に秘密があります。

犬の臭粘膜はひだひだが多く、そのひだひだが表面積を稼いでいるので嗅細胞を多く持つことができるってわけです。

犬がにおいを判別する能力にたけていることも納得ではないでしょうか?

4.実は人間の嗅覚もすごい

人間は他の哺乳類に比べて嗅覚が劣っていると言われてきましたが、これは人間が嗅覚よりも視覚を優先しているため、こうなってしまったと考えられています。

人間は犬や他の動物ほどは食べ物をかぎ分けませんよね。

また、におい物質が受容体に結合した後、情報を整理する嗅球が脳の割合でみれば他の哺乳類よりもはるかに小さいのです。

情報を処理するところが小さいとやはり重要ではないと思いますよね。

しかし、最近の研究では!人間の嗅覚だって優れている!ということも言われてきています。

なぜなら、確かに脳の大きさ的に嗅球のしめる割合が小さいですがそもそも脳が大きい人間は大きさでみるならば、他の哺乳類と同じくらいの大きさではないですか!

また、嗅球を構成している神経細胞の数も同じくらいでなのです。

さらに、人間は大きな脳を持つということもあり、においから記憶をたどる能力が強く、犬よりも感情や行動がにおいに影響されるとされています。

いろんなものをかぎ分ける力は弱くても、臭いに対する感覚は人間も凄いものがあるのです。

ワインをにおいで判別したり、においでその人の状態を状態を判断できる人もまれにいますし、人間の嗅覚も劣っていないということですね!

恐るべし人間!

5.さいごに

においは物質の濃度によっても違ってきます。

香水に含まれているインドールは濃度によってにおいの感じ方が変わる代表です。

実はおならにも含まれているインドールは濃度が濃いとくさく感じるのに、少量であればジャスミンの香りに感じるという驚き。

本当に不思議ですよね。

これはおそらく嗅細胞の受容体に結合するパターンが違ってくるんだろうと思います。

ただ、匂い物質を数値で表すのはとても難しいのです。なぜなら、 鼻嗅細胞 が持つ嗅覚受容体の構造が明らかになっていないからです。

受容体は細胞膜に埋め込まれているため、その構造を見るために外に出すと構造が変わってしまいます。

その結果、なかなかこの物質がこの匂いになるという判断が難しいのです。

最近では量子化学の分野からだいぶ予想もできるようになってきたそうですが、まだまだこれからの研究に期待です。

そして、私たちも犬に負けないようにどんどん嗅覚を使っていきましょう!