ナメクジに塩!何が起きているのか?海水を飲んではいけない理由

2018年11月4日生き物の科学

ナメクジに塩をかければ消えてしまうと、昔からよく言われていますよね。

子供のころに誰しもが一度はやったことがあるのではないでしょうか?

では何故ナメクジは消えてしまうのでしょうか?

実はナメクジは消えたりなんかしません。

ナメクジの水分が奪われ、縮んでしまっているのです。

これには『浸透圧』が関係しています。

さらにはこの浸透圧、海水を飲んではいけないことにも大きく関係しています。

今回はこの浸透圧とナメクジの関係について、そしてどうして海水は飲んではいけないのか?

解説していきたいと思います。

1.浸透圧

浸透圧を簡単に説明していきます。

薄い濃度と濃い濃度の水溶液があるとします。

この2つの溶液を半透膜で隔ててみてください。

すると、半透膜を通じ、均一の濃度に揃えようという働きが生じます。

この時、薄い水溶液から濃い水溶液へと水を引き寄せる力を、『浸透圧』と呼んでいます。

もっと、かみ砕いて説明することにしましょう。

例えば、塩を水に溶かすとします。

片方には大量に塩をいれて、もう片方には少なめに塩をいれます。

これで濃い食塩水と、薄い食塩水ができましたよね。

この二つの食塩水を半透膜を介して繋げてみましょう。

半透膜とは水分子などの小さな分子は通しますが、食塩などの大きな分子は通さない膜です。

すると、どうでしょうか?

半透膜は水だけを通すので、薄い食塩水から濃い食塩水の方へ濃度を揃えよう力が働きます。

つまり、水分子だけが移動していきます。

このように水分子が移動していく働きが浸透圧です。

では、この浸透圧を頭に入れてナメクジに戻ってみましょう。

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2.ナメクジに塩をかけると

浸透圧については何となくでもお分かりいただけたと思います。

では、ナメクジに塩をかけてみましょう。

人間のように皮膚がないナメクジは、表面が浸透膜になっています。

ちなみに人間は体内の水分が出ていかないように、表皮が覆ってくれているので、水分をほとんど通しません。

皮膚に覆われていないナメクジに塩をかけてしまうと、表面の濃度がとても高くなってしまいます。

濃度をなんとか下げようと表面の浸透膜を通じて、体からどんどん水分が出て行ってしまうのです。

そのため、ナメクジは体から水分が奪われ、消えてしまうのではなく、脱水し、死んでしまうのです。

塩でできるんだったら、砂糖でも同じことが起きるのではないか?

と思われた方も多いのではと思います。

確かにその通りです。

ただ、やはり塩の方が浸透圧が生じやすいのです。

では、それはいったいなぜなんでしょうか?

3.塩と砂糖の違い

1リットルの水に溶けている物質を分子量でわったものを『モル濃度』と言います。

塩はNaClと表すことができ、分子量は58.4です。

つまり、1モルの濃度の食塩水を作るには、食塩を水1リットルに対して58.44 g溶かせばできます。

一方で、砂糖はどうでしょうか?

砂糖の主成分はスクロースと呼ばれる糖です。

これを化学式で書けば、C₁₂H₂₂O₁₁ です。

そしてその分子量は342.3です。

食塩に比べれば分子量が多いことがわかります。

では、1モルの濃度の砂糖水でも作ってみましょう。

砂糖を水1リットルあたりに342.3 gも溶かさなければいけません。

同じモル濃度の場合、浸透圧は同じになります。

つまり、同じ浸透圧にするためには、砂糖の方がはるかに多く必要となってしまいますよね。

その結果、食塩の方が圧倒的に砂糖よりも、浸透圧が生じやすいといえるのです!

食塩は食べれる物質の中で最も浸透圧を上げられる物質です。

この作用を利用し、昔から食料の保存にも食塩が使われてきました。

それは微生物の水分も奪い、やっつけてくれるので腐敗を防ぐことができるからです。

このようにナメクジに対しても、砂糖よりも食塩が浸透圧が働きやすいから、有効であることがわかったと思います。

では次に、海水を飲んではいけない理由を説明しようと思います。

4.海水を飲んではいけないのはなぜ?

もし、無人島に取り残されたら、まず生き残るためには水分が必要ですよね。

海があるから水には困んないよと思うかもしれません。

しかし、海水を飲めば余計にのどが渇いてしまうので、海水は飲料水としては扱うことはできません。

一般的に飲み水の確保には、一度海水を煮沸して、その時発生した水蒸気を回収し、
水として飲むという方法が考えられます。

これは一度水分子だけを気体にし、溶けている物質から水を分けているのです。

ただ水を飲むだけなのに大変ですよね。

何故こんなことをしなければ海水を飲めないのでしょう?

腎臓の働きによって血液は一定の塩分濃度を保たれています。

つまり、体中の浸透圧も一定に保たれています。

海水は人体の塩分濃度よりも高くなっています。

もし、海水を飲んで塩分を取りすぎると、血液の塩分濃度がどんどん高くなり、それに伴い、血液の浸透圧がどんどん高くなってしまいます。

塩分濃度を薄めるには水分が必要なので、体がどんどん水分を欲するのです。

海水を飲んでしまうと血液の塩分濃度を減らすために、さらに水分が必要となってしまうのです。

また、血中の浸透圧が上がるということは、周りの細胞からも水分を奪ってしまします。

海水を飲みすぎれば、腎臓も機能しなくなり、人は死んでしまいます。

たとえ無人島に取り残されても、そのまま海水は飲んではいけないのです。

悪純化にに陥ってしまうんですね。

目の前にたくさん水があるのに生き地獄ですね、、、

5.さいごに

ナメクジに塩をかけると、縮む理由がお分かりいただけたかと思います。

ナメクジは浸透圧によって体の水分が奪われ、脱水して死んでしまっていたわけですね!

同じように人間に塩をかけても皮膚が守ってくれているので、縮みません。

しかし、激しい運動や、暑いところにいると脱水症状にはなります。

ナメクジと同じで、脱水症状になれば人間は最悪死んでしまいます。

なので、こまめな水分補給はしなければいけませんね。