渋柿は干したり、渋抜きするとどうして甘くなるの?科学的に解説!

2018年11月2日食品の科学

元大手食品メーカーに勤めていました!と言うわりには食品についてのお話をあまりしていないブログ主のくもMです。

ということで今回は久々に”食品”の話題!

渋柿についてお話していこうと思います。

平安時代より日本人の文化として根付いてきたと言われる渋柿。

その用途は様々で、染料、塗料、食品添加物、さらには薬にも多く利用されてきました。

柿にはミネラルやビタミンが豊富に含まれているので、日本文化に根付くのも納得ですよね。

ただ、そんな渋柿はそのまま食べてもおいしくありません。

うわぁっとなるような渋い味で、とても食べられるものではありませんよね。

しかし、この渋柿を干して干し柿にしたり、アルコールなどで渋抜きをすれば、甘い柿に大変身してしまうのだから驚きではないでしょうか。

一体渋柿の中で何が起こっているのでしょうか?

結論から言いますと、『渋柿の渋み成分が水溶性から不溶性に変化した』のです。

つまり、渋柿の渋み成分は分解されて無くなってしまったということではないんですね。

どういうことなのか?

ここからはもう少し踏み込んで詳しく解説していこうと思います。

渋柿の渋味の正体

渋柿はそもそもなぜ渋く感じるのか?

それは、ポリフェノールの一種である『カキタンニン』のせいです。

ポリフェノールについては、以前お茶に含まれているカテキンの記事を書いたので、そちらをご覧ください。

このカキタンニンは水溶性、つまり水に溶けるため口にすると唾液に溶けることになります。

そして、舌にある口腔粘膜のタンパク質と結合し、そのタンパク質を変性させるのです。

まさにこの時に生じたタンパク質の変性による痛みこそが渋味の正体だと言われており、タンパク質を変性させる作用は収れん作用と呼ばれます。

つまり、渋柿を渋く無くすにはこの『カキタンニン』をどうにかすれば良いということになりますが、渋抜きをしたり干すと渋柿はなぜ甘くなるのでしょうか?

渋柿が甘くなるのはなぜ?

渋柿は自らが渋くなることで鳥などの敵に食べられないようにしています。

それは、種がまだ成長しておらず、食べられるわけにはいかないからです。

しかし、十分に種が成長すると、今度は鳥に食べてもらって遠くに運んでもらう必要があります。

つまり、甘くならないといけないのですよね。

まさしくこのことを利用しているのが干し柿なのですが、ポイントとなるのは『アセトアルデヒド』。

種が成熟すると嫌気呼吸を行います。

すると嫌気呼吸によってエタノールが発生し、エタノールは酸化されてアセトアルデヒドができるわけなんですけども、このアセトアルデヒドがカキタンニンと結合することで不溶化カキタンニンになるのです。

つまり、種から出てきたアセトアルデヒドがカキタンニンと結合し不溶化することで、唾液には溶けないので渋味は感じないというわけなんですね。

アルコールなどを用いる渋抜きも原理は全く同じです。

アセトアルデヒドとカキタンニンが結合することで、不溶化カキタンニンになっています。

渋味成分がどこかへ行ってしまったり、分解されたわけではなかったんですね。

さいごに

渋柿の糖度は甘柿よりも糖度が高く、カキタンニンが不溶化すると甘柿よりも甘くなります。

その糖度はおよそ1.5倍とも言われ、だから干し柿はあんなに甘いのです。

また、カキタンニンは抗ノロウィルス作用も示すとされ、応用が期待される物質。

これからの研究にも期待です。

干し柿が甘くなる秘密を思い出しながら、食べてみてはいかがでしょうか?

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