なぜ胃は胃液に溶かされないのか?消化とは

2018年9月7日身体の科学

私たちは毎日生きるために食事をしています。

もちろん食べることは楽しみでもありますが、食べ物を食べなければ、死んでしまいますよね?

では、いつも通りに生きるために食べ物を食べるとしましょう。

まず、口に入れた食べ物は、私たちの歯によって細かく砕かれます。

もぐもぐ歯でかみますよね!

そして、唾液によって分解され、胃へと送られます。

しかし、歯による砕きと唾液による分解では、まだまだ腸で吸収するには不十分すぎます。

そこで、強力な酸である胃酸で、食べ物を溶かし、さらには、胃から出てくる消化酵素が分解してくれます。

このように胃液と消化酵素によって分解された食べ物は、腸へと送られていきます。

実はこれだけ分解しても不十分であり、腸でもさらに分解された後、吸収され体のエネルギーへとなっていくのです。

食べ物も一筋縄では吸収できないんですね。

ん?まてよ。

ここで、ふと疑問に思うことがあると思います。

胃では強力な酸が出されているのですよね?

じゃあ胃自体も溶けちゃうんじゃないの?

人間を構成しているのは鋼鉄や金のような強固な金属でもガラスでもありません。

強酸には簡単に溶けてしまうタンパク質です。

では、なぜ胃は溶けずに、食物だけを溶かすことができるのでしょうか?

不思議ですよね?

その答えを簡単に行ってしまうと、胃は自身が出す胃液を中和する粘液と、その表面の再生能力によって穴が空くのを防いでいます。

うーん。

これだけでは、わかりにくいかもしれません。

この疑問の回答と共に、今回は胃の働きについて解説していきたいと思います。

まずは、胃の働きです。

1.胃

一番初めにも言いましたが、食道から送られてきた食べ物は吸収できるように細かく分解して吸収しなければいけません。

また、分解して吸収するとは、つまり食べ物を消化しなければいけないのですが、一体どのように消化しているのでしょうか?

胃の消化の方法には大きく分けて2つあります。

・化学的消化
・機械的消化

この2つを合わせて食物を消化しているのです。

では、それぞれどのような消化なのでしょうか?

1-1.化学的消化

化学的消化では胃酸を分泌することに加え、ペプシノーゲンという酵素を分泌し、消化しています。

胃酸はご存知の通り非常に強酸です。

なぜなら胃酸の成分は、皆さんも強い酸としてご存知な塩酸なのです。

塩酸と言えば強い酸のイメージしかないですよね。

もちろんPHは1~2を示します。

このように胃酸は強い強酸なので、食物を溶かすことができるのです。

また、この強い酸は細菌などもやっつけてくれています。

ただ、胃酸で溶かすだけでは腸で吸収するにはまだまだ不十分。

なので酵素であるペプシノーゲンが活躍しなければいけません。

ちょとまて、ペプシノーゲンって酵素だよね?

酵素ってことはつまりタンパク質だろ!

じゃあ、胃酸によって失活してしまうんじゃあないか!!

と考えると思います。

しかし、このペプシノーゲンはそうではないのです。

なんと、ペプシノーゲンは酸性で活性化し、食べ物を分解してくれます。

失活ではなくて、活性化するのです!!

なぜ活性化するのかと言いますと、ペプシノーゲンは酸性による構造の変化を逆に利用しているのです。

はい?どういうことだ!?

ペプシノーゲンは酵素、つまりタンパク質ですので、もちろん強酸によって構造が変わります。

つまり、変性するというわけです。

本来、強酸性にさらされた酵素は変性し、構造が変わってしまえば、その役割を失ってしまいます。

つまり、失活するということです。

しかし、このペプシノーゲンは構造が変わることで、ペプシンとなり、タンパク質を分解する酵素として働くのです。

なんということでしょう!!

構造の変化を逆にうまく利用しているわけですね。

恐れ入りました。

このように化学的消化は、胃酸とペプシノーゲンによって行われるのです。

では、機械的消化とは何でしょう?

1-2.機械的消化

口からやってきた食べ物は、分解してから腸に送らなければならないので、胃に貯められることになります。

食べ物は、胃の出口の幽門という場所をきっちりと閉めることで、胃から出ないようにせき止められるのです。

食後お腹が膨れている状態とはそういうことですね。

そして、このようにせき止められた食べ物たちをなにもせず、ただただ待って胃酸やペプシノーゲンで消化するなんて効率が悪いですよね。

そこで、胃がぜんどう運動をしだします。

ぜんどう運動とは、胃が伸びたり、縮んだりすることで食物を撹拌する運動です。

やはり、ただ浸けているよりも混ぜた方が効率が良いですよね!

こうして十分に食物が消化され、ゲル状になると、また、ぜんどう運動によって腸へと運ばれていきます。

このようなぜんどう運動で行われる消化の補助的な役割を、機械的消化と呼んでいるのです。

それでは、いよいよ本題に参りましょう!

2.どうして胃は胃酸に溶かされないの?

胃の働きは、大体お分かりいただけたかと思います。

では、なぜ強力な胃酸は自身の胃を溶かしてしまわないのでしょうか?

そこには大きく2つのポイントがあります。

まず1つめは、胃の表面から粘膜が出ており、胃酸を中和しているのです。

そして2つめが、胃壁の細胞は分裂能力が高く、表面の細胞が傷ついてもすぐに新しい細胞に変わることができるのです。

この2つのおかげで胃は溶かされずにすんでいるのです!

ではまず1つ目から詳しく見ていきましょう。

胃から出される粘液は非常にねばねばしており、その粘液にはアルカリ性である炭酸水素ナトリウムが含まれています。

この炭酸水素ナトリウムと胃液の成分である塩酸が反応し、中性となるのです。

そして、ねばねばしているのは胃全体に膜を作り、保護するためです。

さらさらだとすぐに落ちていっちゃいますよね?

ある程度粘性があることで、胃全体を守ってくれているのです。

また、この粘液はアルカリ性なのでペプシンも変性させてしまいます。

胃のタンパク質が分解されないように、ペプシンも失活させてくれているのです。

粘液は胃酸とペプシンの両方から胃を守ってくれているんですね!

そして2つめですが、粘液で中和しきれない場合も時にはあります。

そこで、胃酸が猛威をふるって細胞を傷つけてしまったとします。

すると、胃の表面の細胞がどんどん分裂し、新しく入れ替わってくれるのです。

胃酸によって傷ついた細胞が新しくなってくれれば安心ですよね。

このようにアルカリ性の粘液による中和とペプシンの失活、そして、胃壁の細胞の修復力という大きく2つの胃のもつ能力によって、自身の胃を溶かさないようにしているのです。

また、胃酸を分泌する時には、自身の細胞が傷つかない工夫もあります。

自分で作った塩酸にやられてしまったら元も子もないですよね!

なので、胃酸を分泌する細胞は細胞内で塩酸を作るのではなく、水素イオンと、塩素イオンを放出することで、外で塩酸を作っているのです。

外で作れば自身は守られますもんね!!

私たちの身体は本当に上手くできています。

3.世の中に溢れている謎の健康食品

世の中には科学を少し知っていればあり得ない商品が多くあります。

その代表は酵素食品です。

酵素はタンパク質ですので、強力な胃酸によってその役割を失うどころか、ペプシンによって分解されます。

また、腸で吸収するには大きすぎるので、分解されてアミノ酸の状態で吸収されるのです。

酵素を食べることで、酵素を作る材料が補給されるのは間違いありませんが、食べた酵素がそのまま体で働くことは決してありません。

コラーゲンタンもタンパク質なので、もちろんそのまま働くわけではなく、吸収されたアミノ酸が働くことで関節的に意味を成します。

みなさん酵素の認識には気をつけましょう!

詳しくはこちらに書かれてます。⇩

コラーゲン入りの食品をよく見かけるけど、コラーゲンとは?効果は?

体にとって大切な酵素とは?触媒について

4.さいごに

胃酸は強い酸性なので、食道に逆流してしまったりすれば、守るすべがない食道はただれてしまいます。

これは逆流性食道炎と呼ばれてます。

ほかにも、菌やストレスにって粘液の分泌が衰えてしまったり、過剰に胃酸が出すぎると、胃を守れず損傷し、胃潰瘍になってしまいます。

どちらもなってしまった場合、大変ですので、すぐに病院にいきましょう!

そのままにしておくと、胃に穴が空いてしまい、内容物が漏れ出し、感染症などを引き起こした結果、最悪死に至ることもあります。

こうならないためにも日々体調やストレス、そして食事に気をつけなければいけませんね”!

また、食べ物をよく噛んで、胃を助けてあげましょう!

つくづく人間のからだってすごいなって思う今日この頃です。