お酒を飲むとなぜ酔っぱらうのか?本当に強くなるのか?

2020年4月3日身体の科学

学生の飲み会、会社の付き合いなど様々なところで私たちと密接に関わっいているお酒のお話です。

みなさんお酒はお好きでしょうか?恐らくお好きな方も多いでしょう。

今回はそんなお酒での疑問なのです。

なぜ人は酔っぱらうのでしょうか?

ジュースを飲んでも酔っぱらうことはありません。なぜお酒を飲むと酔っぱらうのでしょうか?

お酒にはアルコールが含まれているから酔っぱらうのですよね。

では、なぜアルコールが含まれていると人は酔っぱらってしまうのでしょうか?

皆さんは説明することができますか?今回の話題は身近な存在のお酒。

そもそもアルコールとは何か?というところから説明していこうと思います。

1.アルコール

アルコールは非常に身近な存在ですよね。

その用途は様々で消毒、飲料、また食品の添加物なんかにも使われています。

では、そんなアルコールですが化学的に言えば炭化水素の水素原子がヒドロキシ基(OH)になった物質です。

一番身近なものにエタノールがありますが、アルコールといってもエタノールの一種類だけじゃなくて何種類もあります。

例えば、エタノールの他には、飲んだら失明してしまうメチルアルコール、昔、燃料にも使用されていたメタノールなど様々なアルコールがあります。

このようにアルコールにはいろいろあり、その性質が異なってくるのです。

そして、私たちがお酒として飲んでいるのは、先ほど一番身近と言ったエタノールです。

エタノールの化学式は、

C₂H₅OH

と表されます。

見て分かると思うのですが、炭素鎖が二つで、ヒドロキシ基(OH)が1つ付いています。

炭素が2つのアルコールだから、エタノール。炭素が1つなら、メタ、3つならプロパとなるのです。

そして、このエタノールは炭素が2つしかない短い鎖なので、ヒドロキシ基(OH)の影響を大きく受け、水と混ざりやすい性質を持ちます。

また、水と混ざりやすくても炭素鎖を持っているので、脂にも混ざりやすいのです。

このように両方の性質を持っている物質は両親媒性と呼ばれています。

つまり、エタノールは両親媒性というわけですね。

では、なぜこのエタノールを飲めば酔っぱらってしまうのでしょうか?

2.お酒をのむとなぜ酔っぱらうのか?

お酒によって、そのエタノールの濃さは様々ですが、飲むと体の中にはエタノールがやってきます。

そして、やってきたエタノールは腸で吸収され血液に混ざっていくのです。

吸収され、血液に混ざっているエタノールは肝臓で分解され始めますが、分解しきれないものは体中を巡ります。

血液に乗って体中を巡るということは当然脳にもやってくるということです。

では、エタノールは脳で何をやらかすのでしょうか?

なんと、脳にやってきたエタノールは大脳を麻痺させてしまうのです!

ほとんどの物質は脳にあるフィルター『血液脳関門』によって、侵入することはできませんが、エタノールはここを通り抜けてしまうのです。

麻薬や覚せい剤、ニコチンなんかもそうですね。

そのせいで集中力、抑止力、判断力などが低し、本能がむき出しとなりお酒に酔った状態となります。

いつも抑えてくれている部分を麻痺させるので、そりゃ気持ちよくなりますよね。

そして、エタノールは脳の神経細胞を殺すわけではありませんがダメージを与え、機能を低下させることで脳を麻痺させているのです。

ただ、大量に飲みすぎない限りはすぐに修復されるレベルのダメージなので、心配はご無用です。

しかし、もし一気に大量に飲みすぎると吸収されたアルコールを処理しきれず、アルコールの血中濃度が高くなっていきます。

すると、脳の中枢神経までもを麻痺させてしまい、呼吸もできなくなってしまうのです。

これが『急性アルコール中毒』。本当に気を付けなければいけません。

いくらストレスが溜まっているからといって、調子に乗って大量に飲むのは大変危険であるということです。一気飲みなどはもっての外!絶対に止めましょう。

では、次にお酒を飲むと赤くなったりするのはなぜなのでしょうか?

3。お酒で赤くなるのはなぜ?

お酒を飲むとすぐに赤くなってしまう人がいますよね。なぜ赤くなってしまうのでしょうか?

先ほどアルコールは、肝臓で分解され始めるといいました。

肝臓では、最終的にアルコールは水と二酸化炭素にまで分解されるのですが、いきなりそんな細かくできるわけではありません。

まず、初めにアルコール脱水素酵素が働き、アルコールは『アセトアルデヒド』という物質へ姿を変えます。

アセトアルデヒドはさらにアセトアルデヒド脱水素酵素によって酢酸に分解されます。

さらにさらに、酢酸が分解されて二酸化炭素と水になって体外へと、放出されていくということです。

アルコールを分解するには段階が必要なのでなんだか大変なんですね。

飲むのは簡単だけど、排出するのは難しいのかもしれません。

そして、この過程に赤くなってしまう答えが隠れています!

その正体は『アセトアルデヒド』です!

このアルコールを分解する過程ででてくるアセトアルデヒドですが、実は毒性をもつ悪い存在です。

つまり、アセトアルデヒドは有害物質なのです!

毒性を持つアセトアルデヒドが血液に増えてくれば、心拍数が上がり、皮膚が赤くなったりします。

ただ、赤くなる人ももちろんいますが、赤くならない人もいますよね!

赤くならないお酒に強いと呼ばれる人たちですが、そこにはどんな差があるのでしょうか??

4.赤くなるならない人とそうでない人の差は?

赤くなる原因は、アセトアルデヒドであると言いました。

ここでピンときた方も多いのではないでしょうか?

赤くならないということは、その原因であるアセトアルデヒドをすぐに分解することができるということです。

実はすぐに赤くなってしまう人は、アセトアルデヒドを分解する能力が非常に低いのです。

まさか!有毒物質を分解できないなんて!

その能力の差はもちろんアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の差から生まれ、その1つである、ALDH2に起因していると言われています。

また、酵素はタンパク質であり、アミノ酸がたくさん連なって立体構造をとったものです。

このALDH2は517個のアミノ酸が連なりできており、赤くなる人と赤くならない人で違う部分はその違いはたった1つのアミノ酸。

487番目がグルタミン酸であるかリシンであるかの差でしかありません。

たった一つ違っただけでそんな差はないでしょ!と思うかもしれませんが、赤くなる人と赤くならない人の分解能力の差はなんと、約16倍もあると言われています。

また、赤くなる人の中にはALDH2でアセトアルデヒドを全く分解できない人もいるのです。

このアミノ酸の違いは、人の設計図である遺伝子の違いで起こります。

たった一つのアミノ酸、されど一つのアミノ酸、非常に重要なんですね。

日本人を含む黄色人種とモンゴル人種はお酒の弱い人が多いですが、白人と黒人にはこの一個違いの酵素はほとんど存在しません。

つまり、白人と黒人はアセトアルデヒドを分解する能力が高いのでお酒に強いのです。

外国のかたがお酒をぐびぐび飲んでも大丈夫な理由がわかりますよね!

なぜなんだ日本人!どうしてそんな進化を遂げていったのでしょうか?

そのことについて詳しくはわかりません。ただ、日本にも地域によって差があったりするので面白いですね。

良くお酒を飲む地域の人が強いのは、お酒が強い人たちばかりが生き残っていったせいなのかもしれません。

そして、お酒をいっぱい飲めば強くなる!という人がいますが、そもそも遺伝的にこの酵素の能力が決まってしまっているので、お酒は飲んでも飲んでも強くなりません。

それでも、いやいやお酒は強くなるんだ!俺がそうだから!と言い張る人がいると思います。

確かに、お酒を飲み続けるとアルコールを分解する能力は上がります。

しかし、この酵素を用いた分解過程とはまた違った過程でそれが行われているのです。

いったいどんな過程なんでしょうか?

5.お酒は強くなるといわれているけどなぜ?

先ほども言った通り、遺伝的に酵素の能力が決まっているのでいくら飲んだとしてもお酒には強くなりません。

弱い人は弱いし、強い人は強いのです。

では、なぜ昔からお酒を飲めば強くなるといわれているのでしょうか?

実は違う過程でもアルコールは分解されていくのですが、その過程はMEOS( ミクロソームエタノール酸化酵素 )がアセトアルデヒドの分解に関わるというものです。

しかし、この過程でアセトアルデヒドが分解されても肝臓にかかる負担が減るわけではありません。

そのため、お酒が弱い人は無理をしてお酒を飲まない方が良いということになります。

6.さいごに

お酒が人に与える影響を知れば、自分に合った飲み方ができるはずです。

自分がお酒が強いか弱いかを判断することができる方法を最後にご紹介しましょう。

それはアルコールパッチテストです。すぐに確認できる方法もあるので、ぜひ試してみて下さい!

方法は下に記します。

☆アルコールパッチテスト

方法

1.市販の消毒液を、ガーゼやバンドエードに染み込ませます。

2.染み込ませた物を上腕の内側に貼り付けます。

3.7分程度経ったところで、肌の色を確認します。
  ※完全に剥がしてはいけません。

4.そして、初めから10分後の肌の色を確認します。

テスト結果

7分ほどで赤い お酒が弱すぎる人
→ALDH2が不活性である可能性が高い

10分後に赤い お酒が弱い人
→ALDH2の活性が弱い可能性があります。

10分後に赤くない お酒が強い人
→ALDH2がしっかり働いてくれています。

テストの結果はいかがでしたか?

自分がどのような体質であるのかを調べるのも、今後お酒と仲良く向き合っていくための大事なポイントになりはずです。

ぜひ、テストに挑戦してみてください。

もちろんはめを外してお酒を飲むのは楽しいですが、本当にそれが良いことなのでしょうか?

確かに現代社会は本能を抑えつけ、ストレスがかかってくる世の中です。

ストレスも溜まりますよね。

だからはめを外したくなる気持ちもわかります。

しかし、自分の体のことも相手の体のことも考え、お酒は適度に楽しんで飲みましょう!